2022年度 活動レポート 第62号:岡山大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第062号 (Aコース)

持続的かつ先進的な農業・環境技術を岡山で学ぶ—SDGs達成を目指して—

岡山大学
准教授 稲森 岳央さんからの報告

 岡山大学農学部では、令和4年11月20日~11月26日まで、タイ・カセサート大学から11名(学生10名、引率教員1名)を招へいし、「持続的かつ先進的な農業・環境技術を岡山で学ぶ—SDGs達成を目指して—」というテーマでプログラムを実施しました。

 カセサート大学は、タイで最も古い歴史を持つ農業大学です。発展が著しいタイですが、農業、環境の面において、日本と同様の課題を抱えていることも多いのが現状です。このことから、特に本学が推進するSDGsの視点からプログラムがデザインされました。

【研修一日目】

 農学部による研修では、農芸化学、応用植物科学、応用動物科学、環境生態学の4分野について実践的な講義が行われました。植物病理、ストレス耐性、遺伝育種、動物の飼料から生殖科学、生産環境等々、持続的な食糧生産について広く学び、各研究室を訪問後、フィールドでは、低コスト、環境にも優しいハエによる花粉媒介、留学生による花き生産に関する研究等について学びました。最後は、岡山が誇る果実をポストハーベストの視点から学びながら食しました。日本のきめ細やかな農作業から生まれるブドウやモモの美味しさに手が止まらない様子でした。

活動レポート写真1
冷蔵保存しておいたブドウ(2種類)の食味を比較中

【研修二日目】

 タイは自治体によるゴミ処理制度が十分に整備されておらず、分別収集やリサイクルは重要な課題となっています。このような状況を受け、岡山市の西部リサイクルプラザを訪問しました。同プラザでは、効果的なごみ処理、処理施設が抱える課題を学修し、ゴミ減量のキーワードRefuse「リフューズ」、Reduce「リデュース」、Reuse「リユース」、Recycle「リサイクル」の大切さを学びました。Reuseの一環として、同プラザではリサイクル品を一部無償で譲渡しており、日本らしい湯呑やお茶碗、重箱をお土産に頂き、ご満悦でした。

活動レポート写真2
正しくゴミを分別することの大切さを学ぶ

【研修三日目】

 日本を大好きになって帰国してもらうため、倉敷美観地区、岡山城、後楽園、鳥取砂丘、大阪見学等もプログラムに取り入れていますが、この日(11月23日勤労感謝の日)の午前は厳島神社を訪れ、日本の精神文化および、建築様式や木造建築の工夫について学びました。午後は、広島平和記念資料館で、平和の大切さについて学修しました。カセサート大学の学生の広島訪問は、過去にも行っていますが、毎回、資料館、原爆ドームを訪問後、招へい学生が神妙な面持ちになるのを感じます。広島での経験を通じ、科学を正しく使い、世の中に貢献する人材になってくれると思います。

【研修四日目】

 本学の研究所の一つである資源植物科学研究所(岡山県倉敷市)において、植物におけるエピジェネティクス、農業の役に立つウィルス、DNAの視点からみた大麦の休眠と発芽、シリカによるストレス耐性等々、劣悪な環境でも生育が可能な作物の創出に向けた最先端の農業研究を学びました。学生にとっては難しかった内容もありましたが、カセサート大学からは、過去に本研究所の博士課程に進学した学生もおり、将来、再来日してくれることを期待しています。

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岡山大学植物資源科学研究所訪問

【研修五日目】

 本学のもう一つの研究施設である惑星物質研究所(鳥取県三朝町)は、惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った試料や「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った試料を分析したことでも有名な世界トップクラスの研究所です。学生たちは、研究活動を紹介する講義を受けた後、防塵服に身を包み、人生初めてのエアシャワーを通ってクリーンルームに入室。リュウグウ試料の観察や実験室の見学など、熱心に行いました。

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岡山大学惑星物質研究所実験室の見学

 コロナ禍による影響を2年間受け、2021年度のオンライン交流に続いて、やっと実現した今回の招へいプログラムでした。年を重ねるにつれ、交流はより密なものになり、今回のプログラムをサポートしたTAの一人は、カセサート大学を卒業した本学の修士課程の学生でした。コロナ禍の影響がまだ残る中、実施を支援いただいた科学技術振興機構、関係者の皆様には深く御礼申し上げます。