2022年度 活動レポート 第55号:筑波大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第055号 (Bコース)

ブラジル若手医師との交流 ~高齢者医療と世界の癌治療~

筑波大学附属病院国際医療センターからの報告

 2022年9月11日~10月1日までの21日間、筑波大学附属病院は、JSTの支援を受け、さくらサイエンスプログラムとしてブラジル・サンタクルス日本病院から若手医師3名を招へいし、研修を実施いたしました。筑波大学は送り出し機関であるブラジル・サンタクルス日本病院と平成28年に協定を締結しており、現在でもその交流は継続されています。COVID−19の世界的な感染拡大に見舞われた時期も、オンラインによる交流を続け、今年度はついに招へいが叶い、相互の機関ともに大きな喜びとともにプログラムを開始いたしました。

 今年度の大きな特色として、本学の医学医療系の学生による招へい者の出迎え・見送りをはじめ、各視察への同行、意見交換会などが計画に組み込まれており、これにより次の世代への交流機会が創出され、活発な交流が継続されることを狙いとしています。次の世代を担う若手医療者間の交流は大変貴重であり、学生にとっても素晴らしい経験となり未来への種となることが期待されます。

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医学医療系学生が空港まで出迎え、ホテルチェックイン案内

 今年度の具体計画としては、送り出し機関の若手医師(消化器外科医師Dr. Erica SAKAMOTO、放射線科医師Dr. Geovanne Pedro MAURO、老齢内科医師Dr. Aline Mary AKITA)3名を招へいし「高齢者医療と世界の癌治療」をテーマに、高齢者を取り巻く医療、主として癌治療のあり方や今後想定される未来の高齢化社会を見据えた研究ついて、複数の診療科(消化器外科・放射線腫瘍科・リハビリテーション科)で課題に取り組み、研修・共同研究を行いつつ、相互のネットワークを構築し、今後の若手医療者の人材育成を図ることを目的としています。招へい者3名は夜遅くまで手術の見学をしたり、朝早くからのカンファレンスにも参加したりと、学びの多い日々を過ごしました。

 9月14日には、学内にある「サザコーヒー筑波大学店」にて医学医療系の学生とともに意見交換会を実施しました。この店舗では、送り出し機関と関連のあるブラジル・アリアンサ農園から提供される「アリアンサコーヒー」を楽しむことができ、母国の味とともに話題が尽きない時間となりました。学生からは今後のキャリアプランなどの質問があがり、招へい者も自身の経験を熱心に伝え、次世代との交流も活発に行われました。

 本院では若手医師の海外派遣を支援しており、将来的に多くの若手医師が、送り出し機関であるサンタクルス日本病院にも派遣され、交流をしながら相互に研究を続けていくことが望まれます。

 9月17日には、学生の案内で「日本科学未来館」を見学しました。電車での移動中は日本の景色や雰囲気を楽しみ、科学未来館では日本の科学技術に触れ、日本食にもトライし、日本文化を楽しみました。

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医学医療系の学生と日本科学未来館見学

 9月23日には、つくば市内にある研究施設を学生と一緒に見学する予定でしたが、当日は台風が上陸したため、JAXAのみの見学となりました。残念でしたが、招へい者からは「初めての台風を経験できた」と前向きな意見が聞かれました。

 9月30日は、研修最後のイベントであるTsukuba Global Science Week 2022のセッションに参加しました。セッションは国際会議場とオンラインで世界を結ぶハイブリッド形式で開催され、送り出し機関のブラジル・サンタクルス日本病院からDr. Sandra Hiroko WATANABE, Chief of the Division of Rheumatologyにご登壇いただき、“Osteoporosis in the Brazilian Elderly Population”の演題でご発表いただきました。また、会場では、「癌治療」と「高齢者」をキーワードに、消化器外科医師・腫瘍内科医師・循環器内科医師・精神神経科医師から多方面にわたる視点での発表があり、大変有意義なセッションとなりました。

 TGSWセッション終了後は院内に戻り、SSP研修報告会および修了証授与式を開催しました。招へい者3名はそれぞれの研修成果の発表を行い、各診療科の担当医師から修了証が授与されました。

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報告会で発表後に質問を受ける招へい者

 10月1日/10月2日は、招へい者は2班に分かれ、学生に見送られ離日し、SSPプログラムを無事に終了することができました。

 最後に、このような貴重な機会をいただき、柔軟に対応いただいたJSTさくらサイエンスプログラムとご協力いただいた方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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研修報告会および修了証授与式にて