2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第050号 (Aコース)
情報科学による継続的な国際連携と環境保全
日本福祉大学国際福祉開発学部からの報告
2015年より情報科学の教育利用で研究連携を行っているカンボジア、シェムリアップ教員養成大学とプノンペン教員養成大学の教師6名、そして将来研究者を目指す学生4名を日本に招へいし、「情報科学による継続的な国際連携と環境保全」をテーマに7日間の研修を行った。
期間
2022年9月5日から9月11日
活動
- GIGA School 構想が実施されつつある日本の現状を学ぶ。
- 日本の環境教育とアンコールワット保全をリンクして情報科学を考える。
- 日本を支える科学技術に接し、ICTが実現されている日本に触れる。
- 日本の研究者との協働研究の検討を行う。
研修1日目 日本到着 日本福祉大学でのワークショップ
日本福祉大学におけるVRの教育利用とメタバースについて講義とワークショップを行った。授業改善の視点から、この研究分野の歴史と展望についてワークショップをおこなった。早朝の到着であったが訪日の目的を明確にする研修であった。
研修2日目 鍋屋上野浄水場 環境教育、メコン川の利用の視点から
浄水場を訪れ、飲料水(蛇口から飲める日本の水)、環境教育と生活について、職員から丁寧な説明を受けた。これらの情報は、ネットワークを通じで滞在中に本国、カンボジアの教室に報告された。展示の在り方、広報のための英語インストラクターの活躍、どのように展示物を効果的に教育活動に生かすかなど話し合われた。愛知県の産業とICT活用について協議した。
研修2日目 トヨタ産業技術記念館 技術開発の歴史とこれからの産業技術
研修3日目 日本福祉大学、立命館大学、関西大学、京都産業大学 対面にて協働研究協議
新幹線技術にふれ、生活に埋め込まれたICTについて学んだ。京都市内見学の後ワールドヘリテイジ保全とアンコールワットと環境教育について検討を行った。
立命館大学では情報科学を活用した、連携研究について討議を行った。授業を連動させ、情報英語を外国語として学ぶ学生たちのコミュニケーション能力をいかに高めるか話し合われた。
研修4日目 Future School Classroom Visit (大阪)
情報機器を総合的に使い、学習環境の最も基本的な、教室のデザインについて論議を行った。Learner Centeredであり、Attention, Relevance, Confidence、Satisfactionをキーワードにした教室デザインについて話し合った。 日本で現在取り組まれている教育研究や、デジタルで彩られる新しい社会Society5.0について話し合あった。同時に現在日本で行われているGIGA school Projectについて解説を受け論議した。
研修5日目 カンボジアへの研修成果報告と今後の連携
ネットワークでカンボジアへつなぎ、研修成果のまとめと報告を行った。またLearner Centered の考え方や、Instructional Designの考え方を取り入れた学習教材モデルを今後ともに作り上げていくことを確認した。
研修6日目 名古屋市科学館の訪問
科学への興味喚起展示の学習、情報科学を支える科学館の機能と教育展示について学習した。
研修7日目 中部国際空港にて
成果プレゼンテーションの共有を夜のうちに済ませて、空港へ。
ネットワーク活用での研究交流はさらに続く。
参加者の声
- われわれは教育科学を一生学んでいく教員、研究者である。参考になった。
- 日本はテクノロジーが日常生活の中に最適化されているということが理解できた。
- 事故の起きない新幹線、数分後にやってくる地下鉄。豊かな産業も環境もテクノロジーと、人々の知恵で作り上げられている。さくらサイエンスでそれらを直接体験し、学ぶことができた。
- アセアン諸国の教員、研究者の招待に心から感謝する。
- 日本の人々と接してみて、その行動は礼儀正しく、お互いを尊重している行動がいろんなところに見られた。テクノロジーは戦争でも使われることがある。民主主義、人権意識があって、テクノロジーも平和的に使われ、より豊かな世界が出来上がっている。
- 教育科学の教育現場への正しい適応を考え、今回の経験を生かしていきたい。コロナ禍の通信技術を使った教育改善など、今後も連携して研究を続けたい。
- メタバース、VRの知見を今回得たのでカンボジア教育の改善に役立てたい。
- 私は「顔認識」の研究を行っているが、今回訪問した「フュ―チャースクール」の事例を学んだ。さらに研究を進めたい。