2022年度 活動レポート 第43号:愛媛大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第043号 (Aコース)

インドネシアの学生が持続可能な高度医療技術の現状と課題を学ぶ

愛媛大学 社会共創学部からの報告

 新型コロナウイルス感染症拡大後、3年ぶりとなる招へいの第二弾として、インドネシアのハサヌディン大学から医学部生と公衆衛生学部生をお招きしました。期間は2022年12月7日から13日の7日間で、受入は愛媛大学社会共創学部です。ハサヌディン大学の医学部ならびに公衆衛生学部からは本さくらサイエンスプログラムでの来日を長い間望まれており、やっと実現いたしました。テーマは、持続可能な高度医療技術の現状と課題を学ぶことで、愛媛大学医学部や総合健康センターを訪問しました。

 この数年、世界的に影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症ですが、医療機関ならびに医学教育の現場は特に混乱があり、緊急対応に迫られていたことは想像に難くありません。未だに収束が見えない中における持続可能な高度医療技術の開発というインドネシアにおいて極めて重要な課題解決の糸口を探るために本プログラムは実施されました。医学部と公衆衛生学部から5名ずつ、優秀な学生が選抜され来日することができました。また引率教員の一人はハサヌディン大学の資金で来日されました。

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医学部訪問1

 1日目のオリエンテーションの後、社会共創学部の学生と一緒に愛媛大学ミュージアムを視察しました。2日目と3日目は、特別講義「持続可能な高度医療技術と科学技術イノベーション」や、愛媛大学健康センターの訪問、また「日本における生活習慣、カルチャーショックへの対応」について学びました。

 特別講義では、日本における神経疾患および生活習慣病に対する高度医療技術とその実践について、また、糖尿病と睡眠との関連性について知識を深め、学生らは積極的に質問をされていました。愛媛大学の学生とのディスカッションでは、インドネシアと日本の健康保険制度、医療制度の違いも確認しました。開発途上国として位置付けられているインドネシアですが、現代的な食生活やライフスタイルから糖尿病などの生活習慣病の発生率は高く、学生たちは、長寿国日本における公衆衛生と高度医療技術を通じて生活の質を向上させながら健康を追求するために、多くの課題があることを実感されたようです。

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医学部訪問2

 4日目は、愛媛大学生と一緒に成果発表会に向けて準備を行い、5日目は久万高原へ地域観光資源を訪ねました。最終日には愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センターの見学と成果発表会があり、修了式では社会共創学部徐学部長からの修了証書の授与と挨拶、またハサヌディン大学の学生からは伝統的な踊りの披露がありました。

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伝統舞踊の披露

 本プログラムで最も学生らが目を輝かせていたのは、愛媛大学医学部シミュレータールームにてVRを用いた研修制度や、安全衛生の徹底、高度医療研修システムを学べたことで、大変貴重な体験となったようです。愛媛大学生とは、所属するコミュニティや地域での医療制度や健康保険制度を比較し、行政、教育機関、地域社会、企業、メディアが医療環境の問題を共に解決していくノウハウがないか率直に意見交換をすることができました。本プログラムで習得した知識、体験はいずれも、彼らの大学また医療の現場で活かされると期待します。

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成果報告会・修了式集合写真