2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第042号 (Aコース)
インドネシアの学生が愛媛県で持続可能なエネルギー開発の現状と課題を学ぶ
愛媛大学 社会共創学部からの報告
新型コロナウイルス感染症拡大後、3年ぶりになる招へいは、インドネシアの国立ゴロンタロ州大学からでした。国立ゴロンタロ州大学には毎年、当大学の社会共創学部から学生を派遣しており、交流の再開を喜びました。期間は2022年11月9日から15日の7日間で、受入は愛媛大学社会共創学部です。大学生10名、教員1名の計11名が松山での滞在を楽しみに来日されました。持続可能なエネルギー開発の現状と課題を学ぶことをテーマとして、愛媛県の原子力発電所等を訪問しました。
この数年、環境問題への危機感から、世界的に持続可能なエネルギーの開発とカーボンニュートラルへの関心が高まっています。インドネシアでは、原子力発電への関心は年々高まっていますが、インドネシアの大学における原子力技術に関連する教育はまだ不十分で、さらに、インドネシアも日本と同様に石炭火力発電に依存する国であることから、持続可能なエネルギー開発は緊急の課題と考えられます。原子力発電所の建設については賛否両論があり、東日本大地震以降の日本における原子力発電所の安全性について注目されています。本事業では、インドネシアの国立ゴロンタロ州大学の工学部、理学部等から選抜された優秀な学生を招へいし、愛媛県における伊方原子力発電所の訪問および、日本とインドネシアにおける持続可能なエネルギー開発を題材にして、科学技術イノベーションの現状と課題を学ぶことを目的としました。
1日目はオリエンテーションの後、社会共創学部の学生と一緒に愛媛大学ミュージアムを視察しました。2日目は、伊方町と伊方原子力発電所を訪問しました。3日目は、「持続可能な開発と科学技術イノベーション」について講義を受けました。4日目は、「日本における生活習慣、カルチャーショックへの対応」と題し、日本での滞在が長いインドネシア人の目線から見た日本について学びました。午後には、愛媛大学生と一緒に、お互いの大学生活に語らいながら、開催中であった愛媛大学祭の様子を見学しました。5日目成果発表会に向けて、愛媛大学生とディスカッションを重ねて準備をし、午後には松山市内の道後温泉等、地域観光資源を訪ねました。6日目の成果発表会では、2グループに分かれて、各グループがThe Possibility of Nuclear Power Plant in Indonesiaについて発表しました。送別会では、学生らは一言ずつスピーチを行い、別れを惜しみ、今後の交流を約束しました。
招へい当初からゴロンタロ州大学の学生は、高いコミュニケーション能力と、英語力を持ち、かつ本さくらサイエンス招へいプログラムの主旨をよく理解していました。原子力発電所と発電所がある町役場の訪問、エネルギー開発の現状と課題についての特別講義、日本人学生とのディスカッション等を経て、短期間のうちに多くの事を学び、吸収しました。全員が初めての海外訪問にもかかわらず、柔軟に異文化に適応しながら、英語でのコミュニケーション能力、ディスカッション能力が向上されているのを感じました。その変化は受入側の愛媛大学生にも良い影響をもたらし、ゴロンタロ州大学の学生への日常生活のサポートのみならず、日本人として本プログラムのテーマに沿った問題提起を行い、双方の議論を深める経験ができました。また、学生らしいSNSカルチャーの交流も積極的に行われました。SNSを通じての交流は招へいプログラムが終わった後も続いており、また、愛媛大学が開催している、「オンラインウィンタースクール」に継続して参加する学生もおり、交流が実を結び続けていることを実感しています。貴機構の招へいプログラムに感謝いたします。