2022年度 活動レポート 第41号:和歌山県立医科大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第041号 (Aコース)

がん診断・治療体験プログラム(機器開発・分子標的薬治療を学ぶ)
「韓国・漢陽大学」と、がん診断・治療について研究交流

和歌山県立医科大学からの報告

 和歌山県立医科大学(和医大・医学部)は、JST・さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2022年11月9日~15日までの7日間、韓国・漢陽大学・自然科学部・生命科学科において、がんの発症機構を研究している、大学院生(6名)・ポスドク(1名)・研究者(1名)・教員(1名, Incheol Shin教授)の計9名を招へいしました。滞在期間中に、和歌山県立医科大学(和医大)・医学部・薬学部・附属病院、島津製作所(京都)で、がん診断・治療・機器開発の現場を見学・交流しました。

 ソウル仁川国際空港から関西国際空港に到着・移動後、昼食に和歌山ラーメンで腹ごしらえをして、1日目午後から主なスケジュールが始まりました。まず宿泊先から徒歩圏内にある、和医大・薬学部を訪問し、オリエンテーション、和医大の概要説明および薬学部の主要施設の見学を実施しました。

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和歌山県立医科大学・薬学部での集合写真

 その後薬学部の目の前にそびえ立つ、徳川御三家の一つである紀州藩の居城である和歌山城を見学しました。当日は幸いにも晴天であり、遥か四国・淡路島から大阪湾まで一望を見渡す事ができました。

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和歌山城内での集合写真

 2日目にはJR在来線・特急はるかを乗り継いで、日本の精密機器・計測器・医療機器開発のトップメーカーである、島津製作所の本社・三条工場(京都市)を見学しました。会社概要の説明の後には、「がんに対する島津製作所の取り組み」、「サイエンスプラザ(分析機器紹介)」および「メディカルセンター(医用機器紹介)」の見学を実施して頂き、最先端分析技術およびマンモグラフィー等のがん診断機器開発の現場を肌で感じる事ができました。その後、島津製作所の御厚意でタクシーを手配して頂き、清水寺を訪問し、日本文化を堪能する事ができました。

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島津製作所での見学風景

 3日目は、和医大国際交流センター・内科学第三講座(呼吸器内科・腫瘍内科)が主催の日韓合同シンポジウムを行い、がんの臨床および基礎研究における、双方の取り組みの現状および意見交換を実施しました。特に漢陽大学側のKyung-min Lee研究員は「Myc orchestrates immune-cold tumor in microenvironment in TNBC」のタイトルで、和医大側の赤松弘朗准教授は「Advances in non-small cell lung cancer」のタイトルで日韓双方がプレゼンテーションを行い、乳がんおよび肺がんの発症メカニズム・最新の治療法に関して、活発な意見交換を行いました。

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国際交流センター主催の日韓合同シンポジウム風景

 4日目は、和医大・医学部から徒歩圏にある、紀三井寺を散策しました。西国三十三所第2番札所の紀三井寺(紀三井山金剛宝寺護国院)は、有名な古刹である。特に、寺内の湧き水「三井水」は日本の名水百選に選ばれており、近畿地方に春を呼ぶ寺として広く知られています。急な石段を登り切った境内からの、和歌浦の絶景を堪能しました。

 5日目に予定していた、「臨床技能サークル・わりんぎ」および「USMLE(米国医師免許試験)サークル」等の、和医大の医学生との意見交換会は、新型コロナ感染症の件で中止しました。しかし6日目には、令和3年4月に開設したバイオメディカルサイエンスセンターを訪問し、生体試料を保管するバイオバンク、がん診断に欠かせないゲノム解析や遺伝子発現解析を実施する施設を見学しました。さらに検体検査と生理機能検査を実施している和医大附属病院・中央検査部を訪問し、日々の臨床検査業務を体験しました。また午後には、高度救命救急センター・ドクターヘリコプターも見学し、和歌山県全体の救急診療・地域医療の一端を理解して頂きました。7日目早朝には、関西国際空港に移動され、午前の便で韓国に帰国されました。

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バイオメディカルサイエンスセンターでの討論