2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第037号 (Cコース)
モンスーンアジアの持続可能な食料システムのための農業環境工学技術研修
神戸大学大学院農学研究科
教授 伊藤 博通さんからの報告
さくらサイエンスプログラムの支援により、2022年11月27日から同年12月4日までの8日間でC:科学技術研修コース「モンスーンアジアの持続可能な食料システムのための農業環境工学技術研修」を実施しました。スリランカのルフナ大学農学部農業工学科、インドネシアのボゴール農科大学農業技術学部バイオシステム工学科およびアンダラス大学農業技術学部農業工学科の各大学から引率教員1名と学生8名、合計27名が参加しました。
11月27日はオリエンテーションを行いました。土佐幸雄農学研究科長による神戸大学と農学研究科の紹介と、農学研究科教務学生係事務補佐員の堀 純子さんによる神戸大学への留学について説明がありました。また、本科学技術研修は4グループで構成されており、伊藤博通教授、井上一哉教授、黒木信一郎助教、澤田 豊准教授からそれぞれ非破壊計測、石灰岩の間隙率の予測、葉野菜の鮮度評価、埋設パイプラインの設計に関する説明があり、学生24名がそれぞれ研修を希望するグループを決めました。
11月28日から12月2日まで4グループに分かれて科学技術研修が行われました。
非破壊計測グループでは伊藤教授と中島周作助教が指導教員となり、サフラン球茎に含まれるグルコース濃度およびスクロース濃度を近赤外線分光法により非破壊で計測する手法を学びました。
石灰岩の間隙率の予測グループでは井上教授と鈴木麻里子助教が指導教員となり、従来法に基づいた石灰岩の計測方法を学び、熱変動特性を応用した石灰岩特有の因子の同定、圧縮試験による強度特性の同定とともに、機械学習と深層学習による画像診断ベースの石灰岩の間隙率予測についての科学技術研修を行いました。
葉野菜の鮮度評価グループでは黒木准教授が指導教員となり、総ポリフェノール量やDPPHラジカル消去能を計測し、また写真撮影とその画像補正技術を学び、葉菜類鮮度の定量的評価法についての科学技術研修を行いました。
埋設パイプラインの設計グループでは澤田准教授が指導教員となり、矢板施工で埋設されるたわみ性管を対象に模型実験を行い、管のたわみ量と作用する土圧を計測し、矢板引き抜き時のたわみ性管の力学挙動に関する科学技術研修を行いました。
12月1日は大阪公立大学植物工場研究センターを見学し、植物工場に関する技術開発の実際を知ることができました。
12月3日は各グループがそれぞれ研修成果について発表を行いました。神戸大学の学生は海外の学生達と適格にコミュニケーションをとり、効果的な実験補助が実現しました。その結果、研究期間が短期間であったにもかかわらず各グループ共に目的、方法、結果および考察の各項目について的確にまとめられており、高水準の発表でした。各グループ共に2カ国3大学の混成のメンバーでしたが、英語でのコミュニケーションは良好であり協力し合って結果報告が行われていました。発表の後で各グループの指導教員による評価および、伊藤による総合評価が発表されました。最後に修了証を各学生に授与してプログラムを終えました。