2022年度 活動レポート 第35号:九州大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第035号 (Cコース)

侵入病害虫の遺伝子検出技術の研修

九州大学 大学院農学研究院 
教授 髙須 啓志さんからの報告

 2022年12月1日から10日まで2022年度さくらサイエンス招へいプログラムとして 「侵入病害虫の遺伝子検出技術の研修」を九州大学大学院農学研究院において実施した。招へい者は、すべてカンボジア人で、カンボジア国立バッタンバン大学(以後、NUBB)のTHAN THA、LEANG SAMRITH、SAM LAYHENG(引率者)の3名、カンボジア農林水産省植物保護局(以後、GDA)のYA PHAUK、他1名、ヘンサムリントボンクムン大学(以後、UHST)のMEAS SREYLEN、CHHORN BIYAの2名の計7名であった。九州大学からカンボジアのキャッサバ研究に携わる3つの研究機関NUBB,GDA,UHSTを選出し、それぞれから優秀で日本との共同研究や留学に関心のある若手研究者2名を本プログラムの招へい者として選んでいただいた。また、NUBBから引率者として九州大学に留学経験のあるSAM LAYHENG1名を推薦頂いた。残念ながらGDAの1名が体調不良により来日を断念したため、上記6名の参加となった。招へい者決定後の11月4日と11月26日にオンラインによるオリエンテーションを行い、各自本プログラムに向けての準備を行った。

 12月1日、8:10到着予定であったが、到着の遅れに加え入国手続きが長蛇の列となり福岡空港を出たのは10:30となった。同日午後は開講式後、さっそく侵入病害虫学入門の講義を開始した。

 12月2日は、カンボジアで重要病害であり、今回の技術実習の材料であるキャッサバモザイク病の現状と防除について講義および自由討議を行った。現在の侵入病害虫による被害が農業生態系や自然生態系、野生生物に及ぼす影響を説明した。研修者のバックグラウンドは農学にあり農業への影響についてのみ考えがちであるが、外来生物が自然生態系および野生生物への影響について少し考える機会になったと思われる。

活動レポート写真1
髙須教授による講義。招へい者6名+学生2名が受講中(12月2日)

 12月4日には、午前に侵入害虫種による農業への影響、午後には分子生物学とPCRの基礎について講義を行った。

 12月5日~12月7日はキャッサバモザイクウイルス遺伝子検出の技術実習を行った。研修者は植物および媒介虫からウイルスDNAの抽出、PCR、電気泳動、結果の解釈まで各自で全工程出来るようにきめ細かに指導した。また、12月8日には東京農大のキム先生によるZoom遠隔指導のもと、LAMPによるウイルスの検出を実習した。技術研修は招へい者全員熱心に取り組み、基本的な技術は習得した。PCRもLAMPも現地で実行可能な技術であり、今後カンボジアでの病害虫の検出への利用が期待される。

活動レポート写真2
PCR実習:高野助教と招へい者6名+補助学生3名 (12月5日)

 夕食は招へい者全員と協力学生とで毎日異なる和食を頂いた。その中でもお好み焼きレストランの鉄板の上で自分でお好み焼きを焼いて食べるスタイルは味とともに非常に好評であった。また、毎日3時のお茶の時間には日本の和洋菓子や果物を学生や教員とともに味わった。12月3日は、見学旅行として、午前中は学問の神様として知られる菅原道真公が祭られている大宰府、午後には、福岡市の3大祭りのひとつ福岡祇園山笠が奉納される櫛田神社、福岡城跡を見学後、中洲クルージング、夜にはクリスマスマーケットを楽しみ、日本の文化や歴史に触れる体験をした。

 12月9日に閉会式を行い、招へい者全員から九州大学との共同研究への参加の意思を取り付けた。2023年1月中に招へい者全員とオンライン会議を開き、カンボジアでのCMDモニタリングの実施およびキャッサバの病害虫の共同研究の計画を立てる予定である。さくらサイエンスプログラムを通して日本とカンボジアのキャッサバの病害虫とその防除に関する研究を通して日本とカンボジアの交流を促進したいと考えている。最後に、このような有意義で日本とカンボジアの懸け橋につながる研修プログラムの開く機会を与えていただいたJSTに感謝申し上げる。

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プログラム修了書を持つ招へい者6名と教員2名、協力学生3名と修了式後に撮影(12月9日)