2022年度 活動レポート 第26号:仙台高等専門学校

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第026号 (Aコース)

モンゴル高専4・5年生対象の仙台高専専攻科教育体験プログラム

仙台高等専門学校 専攻科担当副校長 
本郷 哲さんからの報告

 9月27日から10月3日までモンゴル3高専(モンゴル科学技術大学付属高専、モンゴル工業技術大学付属高専、新モンゴル学園高専、以下「モンゴル高専」とする。)から、学生15名と引率教員3名を受け入れた。入学生は4~5月にモンゴルのリエゾンオフィスを通して選抜されたが、コロナ禍の影響で航空便や入国に影響があり、計画より1週間程遅れの実施となった。

 9月27日、成田空港に到着後、JR及び東北新幹線で仙台へ移動し、車窓から見える日本の景色を楽しんだ。

 28日は、開講式後、最初のプログラムとして地元企業3社を訪問した。1社目の共伸プラスチック(株)では、実際に加工された自動車用プラスチック部品を見て学生は感銘を受けたようだった。昼には、大崎市長を表敬訪問し、熱烈な歓迎を受けた。大崎市はモンゴル出身の元横綱白鵬関を観光大使に任命しており、市長は特にモンゴルに対する熱い思いを学生に語ってくださった。午後からは、2社目のキョーユー(株)を訪問し、精密機器の製造や看板方式などの生産方式を学んだ。また、キョーユー(株)には、2018年の本校専攻科体験プログラムで来日した先輩が働いており、モンゴル高専から本校専攻科に入学し、地元企業に技術職として就職した同人に対し、将来の自身のロールモデルとして、様々な質問をしていた。最後に、精密プラスチック部品に関する、金型設計・製作、成形加工、塗装・印刷、組立を行っている明治合成(株)を訪問した。

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美里町のキョーユ―(株)にて実務視察後に記念撮影

 プログラムの中で、モンゴル高専の先輩と会う機会を最初に設けたことは、参加学生のモチベーションを大いに向上させ、非常に有意義であった。

 29日午前には、マテリアル環境コースを体験した。本科4年生のセミナー発表会とインターン発表会を実施することになっており、内容を事前に日本語からモンゴル語に訳すなどの説明をした上で、本校学生が研究やインターン結果をどのように発表しているかの実演を見学することができた。

 午後からは機械・エネルギーコース体験として、粘性流体に関する実験を行なった。多くの学生が粘性流体の実験は未体験であったようで、非常に高い関心を持って実験を行なっていた。

 30日午前には、音響計測実験の体験を行なった。無響室や残響が大きいホールで、残響時間の違いを計測する実験を行なった。学際領域である音響学は電気・建築・機械にまたがるため、初めて音響現象の物理的な計測を体験する学生が多く、スタジオ、ホールや音響設備の計測についても高い関心を示していた。

 午後からは、(株)ジー・イー・エスを訪問した。(株)ジー・イー・エスにはモンゴル高専の卒業生が働いており、特に日本語が最初からある程度できる場合には、卒業後すぐ来日して、就職できる可能性があることを、先輩の体験談を通して実感し、学生たちは感銘を受けていた。

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音響計測実験の説明を受ける学生たち

 10月1日は、建築デザインコース体験として津波・震災から復興した名取市閖上地区の開発状況・建築デザインについて現地に赴き学習した。学生たちは、震災の悲惨さと復興した街を見て様々なことを感じとったようである。

 午後からは修了証を学生たちに授与した。修了証の授与前に学生たちは、学んだことを一人一人日本語で話し、短期間の本研修を通して日本語も大いに上達したことを示していた。

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震災前の閖上の街を再現したジオラマ模型を見ながら説明を受ける学生たち

 10月2日は、本校の施設や設備を見学するキャンパスツアー、日本の科学技術の概要を把握するためスリーエム仙台市科学館の見学を実施した。また、今回の体験プログラムに関する質疑応答を行い、次回以降の実施に向けて課題や要望について整理した。

 以上、7日間を通し、モンゴル高専の学生たちは、専攻科のアクティブな授業(PBL やインターン)を体験し、専攻科への進学、日本企業への就職の実感を得たものと考えており、大変有意義な成果が得られた。