2022年度 活動レポート 第25号:九州工業大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第025号 (Bコース)

未利用バイオマス由来活性炭の調製と炭化物の物性評価

九州工業大学からの報告

 2022年9月24日から10月14日までベトナムのVNU−HUS(Vietnam National University, Hanoi University of Science)の博士課程の大学院生2名、修士課程の大学院生1名、学部四年生1名を共同研究活動コース(Bコース)で招へいしました。

 今回のプログラムの受入研究者は、VNU−HUSのProf.Minhと未利用植物資源の炭化による有効利用に関して共同研究をすすめています。2018年度のさくらサイエンスのプログラムでは、Prof.Minhおよびスタッフ2名を招へいし、実施主担当者の研究室において実際に実験を行い、さらに九州工業大学における研究設備を確認し、継続した共同研究活動への発展のために研究環境を理解してもらいました。

 2019年度のさくらサイエンスのプログラムでは、Prof.Minhの研究室に所属する3名の大学院生を招へいして実験研究を遂行し共同研究を発展させました。今回はProf.Minhの研究室の博士課程の大学院生2名に加え、Prof. Minhの紹介で受入研究者が共同研究を始めたProf. Ducの研究室の修士課程の大学院生1名と学部四年生1名を招へいしました。実施主担当者の研究室において植物由来炭素材料の作製と測定方法の指導、データの解析原理の説明、VNU−HUSの試料の測定、等を行いました。

 受入研究者が常任幹事をしている日本バイオ炭普及会(JBA)の前会長の柴田晃立命館大学OIC総合研究機構客員教授のいらっしゃる立命館大学茨木キャンパスを訪問しました。柴田教授は、一般社団法人日本クルベジ協会の代表理事でもあり、バイオ炭を土壌改良材として農地に漉き込むことで土壌改良と炭素貯留を同時に行う活動を継続されてきました。最近、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)でバイオ炭の農地利用がCO2削減の方法として認められ、日本では、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度のJクレジットの方法論の一つとして、バイオ炭の農地施用が認められました。この最近の潮流を先取りして活動をされてきた柴田教授の具体的な取り組みについて講義を受けました。

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立命館大学茨木キャンパスにて

 立命館大学茨木キャンパスを訪問の後、京都市に移動しました。京都ではフィールド調査として、竹林の管理が継続して成立している例である嵐山を訪問しました。嵐山では竹林の間を散策する道が世界的に有名な観光資源になっています。観光地として集客することにより経済的に成り立つ形で竹林の管理ができています。そのため、九州で見た、管理されずに放置されている状況の放置竹林とは状況が全く異なることを実際に見ることで理解しました。

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京都嵐山にて

 次に奈良に移動し、東大寺と春日大社を訪問しました。東大寺では大仏を見学しました。ベトナムは仏教徒の多い国なので多くの仏教寺院がありますが、日本の仏像や寺院の建物は、ベトナムの仏像や寺院の建物とは雰囲気が異なることを感じたようでした。春日大社を訪問した際には、神社である春日大社とお寺である東大寺とは建物の構造や雰囲気が違うことを感じたようです。また、春日大社では偶然、結婚式を行っていました。そのため、伝統的な和服の正装を見ることができました。春日大社を訪問後に小倉に戻りました。

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奈良公園にて

 招へい者の所属するUS−VNUの研究室とオンラインでつないで発表会を行いました。招へい者がHUS−VNUの大学紹介を、実施主担当者の研究室の学生が九州工業大学の大学紹介を行いました。それぞれの大学の組織構成について理解できました。また、相互に研究内容の紹介を行い、今後の共同研究の基盤を構築しました。

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発表会

 今回の事業により実施主担当者と招へい者の研究室の共同研究の進展のみならず、実施主担当者と親交のある日本の研究者との交流や日本文化への理解もすすむ成果を挙げられたと思います。