2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第014号 (Bコース)
環太平洋の地震・津波・火山噴火頻発域における災害軽減を目指した共同研究
東京大学地震研究所
教授 木下 正高さんからの報告
2022年8月27日から9月16日までの3週間、JSTさくらサイエンスプログラムにより、アジア各国から8名(他1名はオンライン参加)の学生を受け入れ、インターンシッププログラムを実施した。順調にプログラムは終了し、学生および受入教員の双方にとって意義のあるプログラムとなった。
■到着~研究開始
インド、インドネシア、韓国、台湾、マレーシアからの8名の学生たちは、8月27日に全員が無事来日、8月29日にオリエンテーション(佐竹所長挨拶、木下および国際室による地震研概要説明)および地震研究所ラボツアーを行った。
滞在中、学生たちは受入教員のもとそれぞれの研究に従事した。研究テーマは、「インド北部の地盤沈下分析」、「南海トラフ北部の海底地震計で記録された超重力波の励起と季節性」、「機械学習モデルの開発から朝鮮半島の微小地震を検知」、「ひずみ速度を考慮した確率的地震ハザード解析:インドネシア・スマトラ島の例」、「南海トラフにおける速度データから推定した過剰間隙水圧とスロースリップ地震の関係に関する考察」、「1976年から2020年までのインドネシアのスマトラ大断層(GSF)地震の震源メカニズム」、「ディープデノイザーによる波形品質の向上による首都圏の地震検出効率化」、「マレーシア、クンダサンとタンブナンサバ州の活断層線マッピング」、「(オンライン参加者)環境ノイズトモグラフィーに基づく龍門山断層帯の地震空白域の地震速度構造」などであった。
■日本科学未来館見学(9/3)
日本科学未来館を見学し、日本の最先端科学に触れる機会を得た。
■白根・浅間巡検(9/11–12)
白根・浅間山へのバス巡検を行った。(今回のルート:9/11 長野駅~善光寺~白根山~殺生河原~草津温泉(泊)、9/12 草津温泉~鎌原観音堂~鬼押し出し園~東大火山観測所~白糸の滝~軽井沢)
長野駅に到着後、善光寺・宿坊を見学。志賀草津高原ルートの展望場より白根山周辺の地形を観察後、湯釜近くの弓池を散策。その後、殺生河原で前野深火山噴火予知研究センター准教授より白根山の噴火活動・火山噴出物に関する解説を受けた。1日目の最後は西の河原公園の温泉の遊歩道を経て草津温泉中心分の湯畑を訪問した。
2日目は、浅間山の天明大噴火(1783年)による群馬県嬬恋村鎌原村の甚大な被害について、ジオガイドの方から説明を受けた。続いて、鬼押出し園、地震研究所浅間観測所では、前野准教授と博士課程学生による浅間山の噴火と溶岩、露頭に関する解説があった。最後に白糸の滝を見学し帰京した。2日間の行程を通じて、研修生は日本の文化や自然に親しむとともに、日本の最先端の火山研究に触れる機会となった。
■ポスター発表、修了証授与式(9/15)
ポスター発表会にて研究の成果を発表し、続いて行われた修了証授与式にて地震研究所所長から修了証が授与された。
3週間のプログラムを無事終えた8名は、9月16日に離日した。