2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第011号 (Aコース)
韓国の学生が無線伝送技術と人工知能に関する最先端科学技術を体験
千葉大学
教授 安 昌俊さんからの報告
2020年2月頃日本に急速に広がったコロナの影響で、人的な交流ができず、オンラインなどを用いた研究交流を行った。しかし、2022年に入り、ワクチンの普及とコロナ変異により毒性が弱くなったウィルスが広まった影響で、日本入国に制約があるものの人的な交流ができるようになった。その背景で、4年ぶりに韓国の高麗大学と釜慶大学の大学院生と学部生10名を日本に招き、国際交流を行うことを決めた。
2022年8月21日に両大学の学生10名が成田に到着し、本プログラムの活動が本格的に始まった。空港へのお迎えは千葉大学の学部4年生2名により行い、訪問した韓国の学生を千葉のホテルに案内した。
2日目、千葉大学に到着後、無線通信研究室の紹介とオリエンテーションを行った。オリエンテーションの主な内容は、日本の生活習慣、カルチャー、簡単な日本語、および、病気・怪我やトラブルの際の対処方法についての説明である。参加学生は、簡単な日本語の授業に特に興味を示した。彼らは日本には強く興味を持っているが、入試では英語が中心で、日本語を勉強する機会が無かったためだ。今後の交流には、日本語にふれていない学生を中心に、科学技術のみならず、日本語や日本文化の紹介も大切であると感じた。オリエンテーション終了後、午後には座学として、無線電力伝送技術に関する講義を行った。講義後は、無線通信研究室の学生との交流会を行った。国籍が異なっても互いに理解できることを感じる時間となった。
3日目は、午前中には2日目の無線電力伝送に関する簡単な実験を行った。無線信号を用いて電力を送信し、受信側ではその受信信号から発電するエネルギー伝送技術について様々な質問があり、非常に関心を集めることになった。午後は、最新の無線通信技術について、東京理科大学の丸田准教授と山口大学の井田准教授による講義をオンラインで行った。特にMIMOという課題について、2名の先生方から異なる観点から説明を受けることは、学生の関心を引き出し、理解を高めるために非常に良かったと高く評価された。
4日目と5日目は、栃木県に位置する宇都宮大学の小島先生の研究室を訪問し、講義を聞き、その後、日本を代表する観光地の一つである日光東照宮と中禅寺湖を訪問した。中禅寺湖の訪問時は、深い霧のため、周りが見えず残念ではあったが、日光東照宮では、きれいな彫刻が刻まれた建物を見学することができ、「凄くよかった」と高く評価してもらえた。他に日本の川下り体験を行った。川下り体験は参加学生全員はじめてのことだったうえに、下る間に雨にあい大変だったが、いい思い出になったようだ。
6日目は、上野にある国立科学博物館を訪問し、日本の優れた科学技術を体験する機会となった。見学後、ホテルに戻り、参加した学生と簡単な面談を行った。多くの学生から、来日する前は日本への渡航に対し多少の不安感を抱いていたようだったが、実際に本プログラムに参加したことにより、非常に良かったとの意見を頂いた。また、機会があれば日本を再訪問したいとの意見があり、本プログラムの当初の目的を達成することができた。
最後に、この交流プログラムを実現できるよう支援して頂いたJSTに感謝申し上げたい。