2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第123号 (代替オンライン)
インドネシアとオーストラリアの学生が福岡の環境技術を学ぶ
福岡大学からの報告
2022年3月1日、2日、福岡大学とその協定校の教職員や学生(大学生と協定大学の関連の高校生も含む)が参加し、さくらサイエンスプログラム代替オンライン交流が開催された。新型コロナウイルスの影響により、予定していた対面形式からオンライン形式に切り替えた。テーマを「環境技術」とした本交流では、両日とも、参加者が60名を超えた。準備として、事前に数回のメール会議ならびに2月14日にオンライン会議を実施し、下記のとおり決定した。
- 科学技術交流の質を高めるために、福岡大学が開発した事前事後アンケートを海外参加者に実施すること
- 招へいの代替オンライン交流であることから「日本の環境技術」の現場ビデオを講演中に導入すること
- 日本と海外の教育研究機関間の継続的連携・協力・交流に資するため、日本側の技術講演後、「第1回持続性に関する国際科学会議」として、海外の大学生、高校生を対象とした「環境」に関する発表審査を実施すること
初日、主担当者ならびに参加大学の責任者の先生方による挨拶に続き、本学の三島健司教授、鈴木慎也准教授から「環境技術」として、「海水から淡水製造」「ごみ処理技術」に関するそれぞれの講義が行われた。
講義では、福岡市や福岡大学が誇る最先端の環境技術を海外の教員や学生へ現場の動画なども交えて分かりやすく解説した。福岡大学では福岡市と共同で「福岡方式」という準好気性埋立ごみ処理方法を確立し、世界に向けてその技術を広めている。深刻な水不足を経験した福岡市には、巨大な海水淡水化処理施設があり、講義ではこの施設でも実用化されている高分子中空糸膜を用いた逆浸透法について、世界の水事情を踏まえた科学技術的解説があった。講義終了後の質疑応答では、教員や学生から、口頭やチャットのコメント欄を用いた活発な質問があった。講師による回答は明確で的確なものであり、質問者の環境技術に対する理解が深まった。
環境技術に関する講演前講演後(事前事後)アンケートでは、以下の10項目「1)異常気象、2)あなたの国の政府の水供給政策、3)海水から淡水を作る技術、4)二酸化炭素と地球温暖化、5)二酸化炭素の有効利用技術、6)プラスチックごみの処理、7) あなたの国の政府のごみ処理政策、8)ごみリサイクル技術、9)材料の有効利用、10)日本のごみ問題の過去と現在の歴史」への興味の度合いを5段階で評価(最も興味深いが「5」興味が低いが「1」)した。アンケートの結果、平均値で講義前が3.73であり、講義後が4.36であった。環境技術にもともと興味が高い学生が参加していたが、講義後、さらにその興味が高まったことがわかる。
1日目午後と2日目、海外の高校生、大学生の発表審査を実施した。インドネシアの水事情、マングローブ林減少、オーストラリアの山火事といった各国の実情を反映した環境に関する優れた発表が多かった。発表後の質疑応答が活発であったことからも、このプログラムの所期の目的が達成されたと考えられる。最後に、参加大学の教員たちによる投票で優秀者を選出し、表彰した。
プログラム参加者を対象とした事後アンケートでは、プログラムの満足度が高いとの評価をいただいた。今後、国際共同研究に発展する研究者レベルの交流が期待される。