2021年度 活動レポート 第116号:横浜国立大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第116号 (オンライン)

“SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を目指したリレー式日印交流シンポジウム”を実施して

横浜国立大学環境情報研究院 
教授 鈴木 淳史さんからの報告

 横浜国立大学(YNU)では理工学系の研究者を中心にして、今後急速に深まる日印間の共同研究を通じて研究力の向上を図ることを目的に、2017年からインドとの交流を本格的に開始しました。インドの協定大学との学術交流活動や、横浜を中心とした産官学連携活動などを通じて、本学がコアとなるネットワークの構築を推進し、SDGsの達成を担う若い世代の育成の場を形成することを目指しています。

 今回のオンライン・プログラムでは、本学が個別に交流してきた理工学系の分野を超えて、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を中心テーマに設定しました。まず、本学とMoUを締結済もしくは締結に向け調整中である5校との間で、4日間のリレー方式で各大学の研究者レベルの研究成果を共有し、今後の展開についての討論を行いました。学生の参加を広く呼びかけ、Zoomによる研究室ツアーも実施しました。参加者は、各大学の小規模研究グループを基本としましたが、本学を含む6大学間の壁を越えて、研究者も学生も自由に出入りできるオンライン形式としました。5日目の最終日には4日間の個別会議への参加者をはじめ、日印の関係者に参加を呼びかけ日印YNUシンポジウムをオンラインで開催し、分野横断的な日印交流について討論しました。

実施日 参加大学 大学ロゴ テーマ
12月 6日 パンジャブ大学・YNU パンジャブ大学ロゴ サーキュラーエコノミー・バイオ触媒
12月10日 アンナ大学 & VIT大学・YNU アンナ大学ロゴ VIT大学ロゴ プロセス工学・水処理
12月18日 IITカンプール校・YNU IITカンプール校ロゴ エネルギー・ロボティクス
12月21日 IITグワハティ校・YNU IITグワハティ校ロゴ ヘルスケア・バイオマテリアル
12月27日 6大学 日印YNUシンポジウム2021 横浜国立大学ロゴ SXを目指した日印交流 総合討論

プログラムの日程と実施内容

 今回、本学がMoUを締結している大学3校とは、さらなる関係の強化を図ることができ、次年度以降の日本人学生の派遣やインド人学生のインターンシップ教育などについて、具体的に話し合うことができました。一方、今後MoUを締結する方向で連携している2校のうち、IITカンプールとは以前に学術交流協定を結んでいましたが、約10年前に途絶えました。その交流を最初に始められたIITカンプールのBiswas教授が、今回若手の教授とともに事前の個別会議と日印YNUシンポジウムの両方にご参加くださり、MoUの復活と今後の関係強化について議論することができました。もう1校のパンジャブ大学とはすでに2年近くの研究者間の交流があり、本学への博士課程後期の学生の入学や合同シンポジウム開催などの成果を上げており、これを継続かつ促進していくために、その方法を討論するとともに、MoUを締結する具体的な工程について確認することができました。日印YNUシンポジウムでは、インド国内の異なる地域から参加した研究者や学生と分野横断的な交流ができ、本学をハブとしてのネットワーク作りを進めることについて協力を得られる見通しが立ちました。

 今回さくらサイエンスプログラムの事業でISTからご支援をいただき、リレー式日印交流シンポジウムを初めて実施することができました。事前の個別会議により点と点とのつながり(線)を確認して、最後に、個別会議に参加した研究者と学生が一堂に会しこれを面状にネットワーク化するという初めての試みでした。この分野横断的な交流とネットワーク化による新しい出会いは、オンラインによる新しい国際交流の特徴ある手法の一つだと思います。今後は、サーキュラーエコノミー社会の実現を目指すなど、SXへの移行のために文科系の研究者とのコラボも企画しており、コロナの収束後には、オンラインで事前の個別会議を実施して、さらに多くのインド国内の研究者、横浜エリアの大学、企業、公的機関からの参加者、さらに欧米、アジア諸国からも研究者を招待して、対面での文理融合・分野横断的な交流に発展させたいと思います。このイベントをきっかけに、多くのインドの若手研究者と学生が日本の科学技術に関心を持ち、日印間の交流が加速することを期待します。

活動レポート写真1
リレー方式個別会議からシンポジウムへ
活動レポート写真2
集合写真(抜粋)