2021年度 活動レポート 第111号:奈良女子大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第111号 (代替オンライン)

数理科学に関するバングラデシュとの学術交流ならびに高度人材育成基盤の持続的構築

奈良女子大学理学部・化学生物環境学科・環境科学コース 
教授 高須 夫悟さんからの報告

 2021年12月13日-17日にかけてバングラデシュのチッタゴン大学との代替オンライン交流を実施しました。本交流は2020年度の招へいプログラムとして採択されたものの、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延により先方からの招へいが実現せず、2021年12月にZoomを用いたオンライン交流を行うこととなったものです。

 5日間のプログラム(課題に取り組む自習日1日を含む)では使用言語を英語とし、毎回2-3時間を掛けて、集団生物学における個体群動態の数理モデルに関する授業ならびにプログラミング言語pythonを用いた数値シミュレーション解析に取り組みました。また、授業で紹介した数理モデルを参考にして自分でモデルを組み立てて解析する課題にも取り組みました。

 参加学生は全てチッタゴン大学森林環境科学研究所所属の大学院生であり、毎回約20名強の学生がオンライン授業に参加しました。バングラデシュではインターネット回線が不安定になることが多いのですが、今回の4日間にわたるプログラムでは音質や動画の質も良く、問題なくオンライン交流を実施することが出来ました。電子媒体の講義資料や参加学生が作成したレポートは奈良女子大学のオンプレミスクラウドサーバを用いて効率的に共有しました。

 バングラデシュでも新型コロナ感染症の蔓延は深刻な状況であり、2020年4月以降、海外渡航が実質不可能となっています。チッタゴン大学を含む多くの大学ではキャンパスが閉鎖され、全ての授業がオンラインで実施される状況にあり、今回のオンライン交流は奈良女子大学教員による英語の授業ならびにpythonを用いた数値解析に取り組むことで、参加学生の学習意欲並びに留学意識の強化につながったと感じています。

活動レポート写真1
講義資料

 奈良女子大学は教育の国際化を重点項目の一つとしており、留学生の受入や日本人学生の留学支援などに積極的に取り組んでいます。さくらサイエンスプログラム事業によるチッタゴン大学との交流は今回で4度目となり、チッタゴン大学側では奈良女子大学の認知度が高まり、日本留学への意識が高まっています。また、今回チッタゴン大学の大学院生を率いた教員は、過去のさくらサイエンスプログラム事業の支援を受けて奈良女子大学に招へいした大学院生(当時)であり、本事業がバングラデシュの理数系高度人材育成に貢献出来たことは大変うれしく思います。

 さくらサイエンスプログラム事業は海外大学と学術交流の接点を築く貴重な事業です。本プログラムを支援して頂いたJSTに厚く御礼申し上げるとともに、今後も、本事業を継続して頂けることを希望します。

活動レポート写真2
最終日の挨拶