2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第077号 (代替オンライン)
オンラインプログラム:「大連交通大学×東京都市大学」の学生交流
東京都市大学情報工学部教授・国際センター長
田口 亮さんからの報告
【背景】
大連交通大学とは、さくらサイエンスプログラムの初年度から毎年プログラムを実施してきた。大連交通大学とは大学間包括交流協定を締結していて、さくらサイエンスプログラムもその交流の一環として情報工学部情報科学科が中心に理工学部機械工学科、機械システム工学科等まで範囲を広げた交流を行ってきた。COVID-19の影響で2020年度、2021年度も対面での開催を模索し延期を続けてきたが、オンライン形式としては初めて2022年1月19日に開催することになった。今回は情報工学部情報科学科がホストとなり、大連交通大学外国語学院とプログラムを実施することにした。オンラインで開催することによって、参加者は両校の教員、学生を合わせて100名以上に至った。
【プログラム紹介】
大連交通大学外国語学院長・尹翎鸥先生、本学情報工学部長・横山孝典先生の挨拶で開会された本プログラムは3部構成になっていて第1部が本学のコーナー、第2部が大連交通大学のコーナー、そして、第3部が学生懇談会である。
■第1部
ここでは、まず、本学の沿革、学部・大学院の構成等の紹介が国際センターの大田孝治先生から成された。その他、本学の海外交流校に対する固有の制度である大学院の推薦制度や学費減免制度の紹介も成された。なお、大連交通大学の卒業生が昨年9月にこの推薦制度、学費減免制度を利用して初めて本学の大学院に入学した。
続いて、情報工学部情報科学科の学科紹介が主任教授の向井信彦先生より行われた。大連交通大学の参加学生は日本語とソフトウェアを5年間で学び、2つの学士を取得するプログラムに属していることから情報科学科の教育内容に対しても興味を示していた。さらに、情報科学科の7つの研究室(コンピュータシステム研究室、計算機ソフトウェア研究室、知識情報処理研究室、画像工学研究室、視覚メディア研究室、自動制御研究室、応用数理研究室)の紹介が研究室所属の大学院生から行われた。取材形式で研究室の日常を紹介するビデオも含まれていて大連交通大学の学生の興味を惹いたものと思われる。
■第2部
外国語学院長の尹先生から大連交通大学の外国語学院の紹介と、これまでの、両校の交流についての総括が成された。さくらサイエンスプログラムをはじめ、交換留学生制度により80人を超える学生が本学で学んだ実績を持つことを改めて認識した。その後、4名の学生から卒業研究や卒業後の進路に関するスピーチがあった。中国内の大学院や企業へ進学、就職するとのことだが、日本との今後の関わり方についての希望が述べられた。その後、日本の大学院進学に興味を持つ学生からその思いが伝えられた。
■第3部
学生同士の懇談会を開催した。大連交通大学の学生からは、本学の大学院生が担当した研究室紹介に関わる質問が多く出された。特に、研究室の日常(実際の研究室内の風景、雰囲気も併せ)をビデオを通じて見ることができたことが興味深かったようである。昨年の9月に大連交通大学の卒業生が本学の大学院に進学したが、その学生からは現在の学習状況や研究状況の紹介も行われ、COVID-19で来日できずにいて、オンラインで講義の受講、研究活動を行っているものの充実した生活を送っていて、本学大学院進学を希望している大連交通大学の学生に刺激を与えたようである。その他、お互いの大学の相違に関わること等で両校の学生は活発に意見交換を行った。
【参加学生の声】
さくらサイエンスプログラムに参加した学生の意見を紹介させて頂きます。
- 大連交通大学の学生から
「私は日本の文化やアニメに興味を持っていて、日本に行きたいと思っています。東京都市大学とは交換留学制度があることを知っていました。今回のさくらサイエンスプログラムを通じて、東京都市大学のこと、大連交通大学にはない研究室というものを知ることができました。研究室の活動が家族的で楽しそうに感じ、とても興味を持ちました。研究室を紹介してくれた大学院生の方と連絡を取って、もっとよく知りたいと思っています。また、将来、東京都市大学で学びたいとも思いました。」 - 東京都市大学の学生から
「尹学院長からの話を聞いて、東京都市大学と大連交通大学の交流が長く行われていることにビックリした。正直、中国の大学に興味を持ったことはなかったが、今回のような行事で少しイメージが変わった。また、大連交通大学側の参加者が多く、日本や東京都市大学への関心を持つ学生が多いことにもビックリした。」
【総括】
初めてのオンラインでの開催であった。十分な準備もできずに臨んでしまったところもあるが、オンライン開催ならではの利点を実感した。まずは、参加者が多数であった点である。興味を持つ学生が物理的、経済的な制約なく参加できることはオンラインの大きな利点である。今回のプログラムはこれまでの対面開催における1日目の内容に近いものであったが、それらメニュー(大学の紹介、研究室の紹介等)はオンラインで十分であることを実感した。
COVID-19が終息して対面開催できる日も近いと思われるが、今回の経験から、招へい学生が来日する前にオンラインで準備を行うことが得策であることが分かった。招へい学生の来日後のプログラムを充実させるためにも、今後は、「オンライン+対面=ハイブリット」開催の在り方を検討し、バージョンアップした「さくらサイエンスプログラム」を模索していきたい。