2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第068号 (オンライン)
沿岸域の総合的管理に関する日本の先進的取り組みを学ぶ体験交流
高知大学黒潮圏総合科学専攻からの報告
高知大学黒潮圏総合科学専攻では、さくらサイエンスプログラムの支援を得て、2021年11月12日から17日にかけて、フィリピンとインドの2カ国9機関に属する大学院生や若手研究者など16名とのオンライン交流を実施しました。
アジア諸国では経済発展が進む一方で、解決すべき社会的課題は複雑化しており、持続可能な暮らしと地域間格差是正の対策が急務となっています。高知大学は「スーパー・リージョナル・ユニバーシティ」として地域と密接に連携し、地域協働型教育・研究を進めております。また、黒潮圏総合科学専攻は「環境・人類共生」の精神に立脚し、高知–台湾–フィリピンを中心とする黒潮圏流域ならびに沿岸域における持続可能な開発に資する教育・研究の体系化を推進してきました。
本プログラムでは、海洋資源解析や生態系評価技術に関する先端科学技術と、それらの現場における利用を含むミクロからマクロまでの視点を含んだ先進的な取り組みを学ぶ体験をオンライン講義によって提供し、黒潮圏流域・沿岸域における持続可能な開発を担う学術人材ネットワークの構築と連携強化を目指しました。
講義では、主に3つの分野から多様な学びを提供しました。
- 1) 海洋の鉱物資源および生物資源の持続的な活用を目指した研究成果について。
- 2) 高知大学の学内プロジェクトとして研究を続けている沿岸域の管理について。
- 3) 沿岸域の総合的管理と地方創生をテーマとして、台湾の沿岸域における観光開発、日本の漁業と林業を通した地方創生について。
さらに、SDGsに関して参加者の国や地域での事例を個人ワークとしてまとめたあと、総合討論を行いました。従来の招へい型プログラムで経験してもらった、高知県の豊かな自然の見学と生物多様性保全の研究紹介については、横倉山自然の森博物館、黒潮研究所、牧野植物園、室戸ジオパークに協力いただいた動画を大学院生が紹介することによって、来日に準ずる体験をしてもらえたと思います。
最後に、6月に入学したばかりの3名の留学生が研究計画を紹介し、指導教員と参加者によるディスカッションを行いました。参加者は、留学をより身近に意識することができたようです。参加者の所属は以下の通りです。今後の研究でご一緒できることを期待しています。
フィリピン大学ディリマン校、フィリピン大学ビサヤ校、パルティド州立大学、バタンガス州立大学、ビコール大学、ダバオデルノルテ州立大学、ノーザンイロイロポリテクニック州立大学、フィリピン農業省・漁業水産資源局第二地域支所(以上、フィリピン)とクライスト大学(インド)。