2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第067号 (オンライン)
日本、台湾、およびマレーシアの連携による
サステイナビリティ・アクションに関するオンライン国際共修
九州工業大学 教養教育院人文社会系からの報告
九州工業大学は、2021年10月26日から11月25日にかけて、国立台湾師範大学およびマレーシア・プトラ大学と共同で「サステイナビリティ・アクションに関するトランスローカル・ピアラーニング: 日本、台湾、およびマレーシアのオンライン連携」と題したオンライン国際共修を実施しました。3か国・地域(国籍では8か国・地域)から合計24名の学生がプログラムを修了しました。
本プログラムでは、持続可能性に関する知識を提供するだけでなく、異なる地理的、社会的、および文化的背景を有する参加者が、チームとなって、あるローカルな事象について学び、お互いの理解や認識を確認しあい、最終的に何かしらの提案を協働で作り上げるという、ピアラーニングのプロセスを重視しました。参加学生は、初回オリエンテーション時に、4〜5名からなる混合グループを5つ形成しました。そして、毎回のレクチャーの後、設定されたテーマについて、グループメンバー間で日程調整の上、ディスカッションを行いました。Slackをプラットフォームとして用い、自分の考えの共有・ピアコメントや日程調整などに活用しました。
同期的に集まったのは、以下の7回になります。レクチャーは全5回で、様々なテーマとローカリティを含むように設計しました。レクチャーはZoomで実施しました。
- オリエンテーション
- 【北九州市(日本)】
公害克服の経験と行政・企業・市民間のパートナーシップ
大田真彦(九州工業大学 准教授) - 【国東半島・宇佐地域(日本)】日本の農村地域の活性化のための教育プログラム: 国東半島・宇佐地域の世界農業遺産の事例
林浩昭(国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会 会長) - 【上勝町(日本)】
日本のゼロウェイストビレッジ
Linda DingおよびKana Watando (INOW Kamikatsu共同創設者) - 【台北(台湾)】
政治的視点からの都市部での気候レジリエンスの再考: 台北市の社子地域の事例 Mucahid Mustafa Bayrak(国立台湾師範大学 助教) - 【クランバレー(マレーシア)】
河川管理のための市民科学プロジェクト
Mohd Yusoff Ishak(マレーシア・プトラ大学 准教授) - 参加者による最終プレゼンテーション
グループディスカッションでは、レクチャーの内容を自分の出身地や現在の居住地の状況と比較し、応用可能性を検討するなどのやりとりが見られました。また、最終プレゼンテーションでは、各グループが5つのレクチャーのテーマから1つに着目し、改善点やアイディアを発表しました。
様々な地域の具体的なローカルアクションについて学び、また、3か国以上の多文化チームを形成しディスカッションをするという経験は、参加者に大きな意義があったようです。他方で、グループとしての一体感の形成や、批判的視点を含んだ活発な議論という観点からは、オンラインであるがゆえの難しさもあったようです。
オンラインでの学びは、空間および時間を飛び越えるという利点がありますが、実際に現場を訪れること、人と対面することによってしか得られないものもあります。今後の展開として、COVID-19が終息した暁には、オンラインと組み合わせる形で、対面でのフィールドワークも含んだプログラムの実施に繋げたいと考えています。