2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第053号 (オンライン)
作って体得する再生可能エネルギー電源
足利大学からの報告
2022年2月28日から3月9日まで、フィリピン・北イロコス州の公立大学であるマリアノマルコス州立大学の大学生を対象に、再生可能エネルギーに関するオンラインワークショップを実施いたしました。今回のプログラムは、再生可能エネルギーに関心のある大学1~2年生を対象に、先端的な再生可能エネルギー技術を体験してもらうことを目的とするものです。
■2月28日
開講式、オリエンテーションの後、永尾徹特任教授による講義「世界とフィリピンの再生可能エネルギー資源とその利用について」が行われました。本講義は、再生可能エネルギーに関する概論的な講義であり、永尾特任教授は、再生可能エネルギー(風力、太陽光、地熱など)の特性や世界的な普及状況について解説しました。永尾特任教授の講義につづき、飯野光政講師によるワークショップ「高速型風力タービンの工作を通した回転原理の説明とその発展性」が行われました。参加者は、講師とTAの指示の下、風車の性能実験データの解析に取り組みました。
■3月1日
国際交流課による日本文化体験ツアーやディスカッション「ポストコロナの国際交流について」が行われました。参加者は、ソーラークッカー(太陽光調理器)によって日本食(しるこ、餅)を作る動画や空手の演武動画を視聴したり、本学の留学生と日本留学について活発な意見交換をしたりしました。
■3月4日
安藤康高教授によるワークショップ「太陽光発電の原理、種類の解説と電力曲線の作成を通した性能評価方法」が行われました。参加者は講師から太陽光発電の原理について一通りの説明を受けた上、太陽光で発電するLED電灯を使いながら、電力曲線を作成する実験に取り組みました。
■3月7日
佐藤義久特任教授によるワークショップ「風力、太陽光等の再生可能エネルギー電源を想定した模型回路による安定性の評価実験と、その結果から推定する利用時の課題」が行われました。参加者は、電気回路の仕組みについて講師から一通りの説明を受けたうえ、TAの補助の下、半田ごてを使いながら電気回路を作成し、その安定性を確かめました。
■3月8日
出井努准教授によるワークショップ「風力、太陽光を組み合わせたハイブリッド発電のシミュレーションと最適解」が行われました。参加者は、シミュレーションソフトを使いながら、フィリピンの地理的、気象的条件を踏まえ、どのようなエネルギーの組み合わせが最も効率的な発電なのかを調べました。
■3月9日
参加者によるプレゼンテーションが行われました。参加者はこれまでの講義・ワークショップの内容をふまえて、さらに調査研究をし、その成果を発表しました。発表内容について教員との間に活発な議論が行われました。プレゼン後、閉講式が行われ、プログラムの全日程を終了したしました。
今回のプログラムは、実験教材を現地に送り、遠隔で実験を行うという初めての試みでした。しかし、マリアノマルコス州立大学のサポートや教員、TAの熱心な指導により、成功裏に終えることができました。お忙しい中、講義を引き受けてくださった先生方、このような交流の機会を設けてくださった科学技術振興機構の皆さんに深く感謝いたします。