2021年度 活動レポート 第8号:金沢大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第008号 (オンライン)

エネルギーの質と量を考慮した超省エネ社会システムづくりに関する国際学習プログラム

金沢大学地球社会基盤学系からの報告

プログラムの概要

今年9月1日から24日までの約3週間にわたって,インドネシアのアンダラス大学およびカンボジアのカンボジア工科大学の協力を得て遠隔でのさくらサイエンスプログラムを実施しました.本プログラムでは,金沢大学から9名の大学院生が,アンダラス大学からは11名の大学院生が参加し,金沢大学から6名,アンダラス大学から4名,カンボジア工科大学から5名の教員が遠隔講義とグループワークの指導にあたり,SDGs実現に向けて重要となるアジアの国際協働に基づく環境・エネルギーの課題発見と改善対策についての共同学習を行いました。

遠隔実施での工夫

例年は,本学に海外の学生を招へいして本学学生と共同学習を行う「地域研修プログラウム(さくらサイエンス支援)」と,本学学生が海外に出向き現地の学生と共同学習を行う「海外研修プログラム」の両者を実施してきましたが,コロナ禍で海外との行き来が困難となったことから,今年度は両者を組み合わせたプログラムとして,遠隔で「さくらサイエンスプログラム」を実施するとことしました.そのために,本学だけでなく相手校であるアンダラス大学に加え,これまで派遣・受入実績の豊富なカンボジア工科大学の教員にも講義とグループワークの指導をお願いすることにより,相互理解を深めることとしました.さらに,時間の融通が利く遠隔の長所を活かし,現地の実感を得られにくい短所を補う実施方法を検討しました。

まず,プログラムの実施期間を3週間と長めに設定し,講義・交流・グループワークに1週間ずつ充てました。1日あたりの実施時間を短めに設定し,講義はオンライン(時間を決めたweb会議形式)とオンデマンド(参加者各自が動画等を視聴し,課題を実施する形式)を併用し,一部時間の合わない学生でも参加ができるようにしました。コロナ禍で複数の手段を併用した交流手法が実際の国際協働でも重要な要素となっていることを反映した狙いもあります。さらに,2週間目の交流では,グループで,日本とインドネシア相互に相手国への訪問計画を作成し発表するという課題を設定し,相手国への訪問がなくても一定の実感が得られるように工夫しました.グループワークでは,国籍混成チームに,3か国の教員がアドバイスを行うことにより,多面的な視野での課題発掘,解決に向けた議論を行うことができました.

プログラムの成果

SDGsへの理解,現地の文化とエネルギー・環境の現状,技術的な到達点と課題など,国際協働で環境を改善する方向性の議論に必要な基盤を習得するため,段階的な講義と課題に2週間をかけました。北陸地方の地形を有効利用した水力,太陽光,風力発電技術,熱エネルギーなどエネルギーの質が異なる技術に関する複数の講義を通して,地域特有のエネルギーシステムの現状と省エネ化へ新規提案技術について深い議論をすることができる基礎知識を習得できました。また,インドネシアやカンボジアにおける環境・エネルギー利用状況,社会や経済の現状を学ぶことで,新たな視点からエネルギー・環境問題を議論する思考を得ることができたことも大きな成果の一つです。本プロジェクトでの講義や議論に関して学生たちの反応は概ね好評で「ハードだったが得るものも大きかった」という評価をもらいました。一部の講義をオンデマンドにしたことで,教員側の負担が軽くなり,通信環境の影響を最小限に留めるなど,ノウハウの蓄積ができ,相手校とも共有できたことは大きな成果です。

今後の展望

旅費が不要で,時間拘束が緩い敷居の低さが遠隔プログラムの魅力であり,コロナ禍が明けた後も,派遣・受入と併用した新しい形式として継続させることで,一層の教育・研究環境の強化に資することができるという確信を持ちました。今後,遠隔と派遣・受入の連動や同時実施を想定したプログラム開発を進める予定です。

最後に,ご支援いただいたJST,プログラム実施にご協力いただいたアンダラス大学,カンボジア工科大学の皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。

プログラムの様子
参加者の様子