2020年度活動レポート(一般公募プログラム)第016号 (代替オンライン)
日本の防災技術、予防保全技術についてインドの学生が学ぶ
一般財団法人 海外産業人材育成協会からの報告
弊協会はインド工科大学(IIT)カラグプール校と、人材育成、研究協力、ビジネス交流等に関する包括的な協力関係を構築するための協力覚書を2019年1月21日に締結しています。しかしながら、具体的な取り組みには至っていなかったため、今年度、さくらサイエンスプログラムを活用し、学生の日本への招へいを計画しました。あいにく、コロナ禍の影響で、来日は中止となりましたが、取り組みを具現化するため、2021年1月14日にオンライン講義を実施しました。
IITカラグプール校の学生および教員約20名に対して、日本のコンクリート構造物(特に橋梁、および舗装道路について)の劣化や補修、保守に関する実例や日本における課題等を紹介しつつ、講義を行ないました。長岡技術科学大学教授の下村匠先生による講義「コンクリート構造物と維持管理、日本における昨今の取り組みや課題」では、下村先生から1時間の講義に対し100ページを超える包括的かつ詳細な説明があり、インド側の期待を大きく超えるもので、インド側から大きな謝意を得ました。コロナ禍による移動制限などのため、国際交流や、情報源が限られる中、魅力的な講義を提供することができました。
同じく長岡技術科学大学教授の高橋修先生による講義「舗装構造物と維持管理、日本における昨今の取り組みや課題」では、道路建設や補修技術について、AIやIoTを活用した国土交通省の進める「ICTの全面的な活用(ICT土工)」など、昨今の事例を紹介したところ、インドのIT、ソフトウエア技術の関与の可能性などを想起するきっかけとなりました。将来的な日印協力や共同技術開発への意識や関心を高めることができ、今後も課題の提示などより具体的な講義が期待されています。
また、日本人講師にとって、海外向けにオンラインで講義をするのは、これが初めての取り組みで、実施について不安があったようで、実際にインド人特有のアクセントや、相手方のバイクの騒音などで、質疑が聞き取りにくい部分もありましたが、結果として支障なく実施することができました。今後も継続してセミナーに協力したいとの前向きな反応もいただきました。そして結果的に、弊協会がインドの機関と締結している連携協定の強化、活性化に資することができました。