2019年度活動レポート(一般公募コース)第290号
中国・寧夏自治区の若手研究者、行政官との科学技術交流プログラム
国際善隣協会からの報告
2019年11月10日〜16日、さくらサイエンスプログラムにより科学技術体験プログラムを実施し、寧夏自治区対外科学技術交流センターが組織した寧夏自治区の同自治区科学技術庁、同時地区対外科技交流センター、寧夏医科大学、北方民族大学、同時地区農林科学研究センターの5箇所の高等教育機関及び研究所から各3人、計15人が参加しました。
寧夏自治区は中国の省級の地方政府の中でも海南島についで新しく設立したものであり、回族を中心とした回族自治区です。全人口600万人、省都銀川市は人口150万人前後、殆どのレストランは豚肉を出しません。その経済的基礎は新しい自治体だけに遅れていますが、資源は石炭を中心に豊富で、陝甘寧の三角地域は石炭の宝庫です。
また、寧夏回族自治区は近年アラブ諸国との交流が盛んになりました。10年位前からアラブ博覧会が銀川市で行われるようになったこともあり、アラブの首脳が集うようにもなりました。中国の「一帯一路」の国家政策により、この地域は一層重要な地位を占めることとなることが予想されます。
この地域は黄河の上流に位置する国土の1/3が自然流下、1/3が揚水灌漑、他の1/3が自然降雨による農業を営んでいます。しかし、降水量は年間400mm~500mmで多くはなく、農業には十分ではありません。代表的貧困地域であることから、日本はかなり重点を置いて協力を実施してはきたのですが、日本政府の教育借款は寧夏大学と寧夏医科大学のみでした。
そうした環境の中でも当協会は、2008年から2013年までJICAの「草の根技術協力」を実施し、さらに2014年から2015年の2年間「緑の募金」による桑植林を実施しました。2016年には本さくらサイエンスプログラムにより青年科技技術者を招き、成果を上げ、これに基づき、今回の招へいに接続しました。
今回の参加者の構成は医療、農業、技術移転に大別され、訪問先もそれに合わせ農業では千葉大学園芸学が及び筑波の「農研」の「農業と食」の博物館、医療では筑波大医療系細胞による創薬、御茶ノ水女子大学の理学部生物学科を中心としました。成果報告会では、医療分野の高水準の研究成果が多数報告されました。
また、参加者が来日前から技術のイノベーション、技術開発から創業へのステップに関心を持ってました。そこで、東京近辺の各県の中小企業団地への訪問を希望しましたが、先の台風19号の被害対策、近づく20号への対応で外国人の受け入れが困難となってしましました。しかし、改めて東京都の産業労働部に依頼したところ、幸いにして訪問予定日に計画した日が「2019年度の東京都産業展」(中小企業のイノベーション)の初日に当たっていたことから、事前に入場券を手配していただくことができました。この展示会は、寧夏からの参加者に大きな感銘を与えました。
こうして寧夏からの参加者が農業、工業特に中小企業の技術イノベーション、医療面と多方面にわたって体験するこが出来、概ね夫々に満足頂いたと思います。