2019年度活動レポート(一般公募コース)第279号
エネルギー・環境問題にかかわる化学系 日本-タイ若手交流
九州工業大学大学院工学研究院
中戸 晃之さんからの報告
標記のテーマで、2019年12月2日から7日間、タイ・コンケン大学から学生5名、若手教員4名、教員1名の合計10名を招へいしました。
このプログラムは、化学系の若手研究者や将来を担う大学院生の日本-タイ間での交流促進を目的としています。昨年も同様の趣旨で、エネルギー、環境関連分野の研究をめざすタイの若手を招へいしたところ、タイ側から、これからも継続的に若手を派遣したいとの要望があり、今年度も応募したところ、採択していただきました。
プログラムは、本学で開催した国際シンポジウム「The International University Exchange Symposium on Chemistry 2019」への参画、本学工学部応用化学科や生命体工学研究科の研究室見学、そして北九州市内の産業ミュージアム見学、で構成しました。
メインイベントは、上記国際シンポジウムへの参画でした。これは、本学応用化学科において、同時期に、カナダ・オンタリオ工科大学からの訪問とインドからのさくらサイエンスによる招へいが重なったため、本プログラムによる招へいを合わせて、3訪問団の合同シンポジウムを開催したものです。
本プログラムは無機・物理化学系、カナダグループは有機化学系、インドからの招へいは分析・生物化学系と分野が異なり、一般的な国際会議では合同することはないだろうという組み合わせのシンポジウムとなりました。バックグラウンドの異なる聴衆に対して各国の若手が自分の研究成果をアピールする姿は、日本の学生にも刺激を与えたものと思います。
研究発表に加えて、3グループの学生たちの手作り交流会もあり、大いに盛り上がりました。さらに、キャンパスツアーも3グループ合同で行い、大学事務部にもご協力いただいて、機械工作室など理工系大学ならでは施設も見学させていただき、充実した内容となりました。どの国の訪問団でも、学生がいちばん柔軟で好奇心に富み、環境にアジャストしていました。
研究室見学は、昨年の招へいでも好評だったもので、今年はナノカーボン、医用材料、無機液晶、発光材料、有機合成、光触媒、界面電気化学、光機能材料、バイオプロセス、人工骨に関する本学の研究室を見学させていただきました。本学は小規模大学で、その中でも化学・材料系という限られた分野でしたが、バラエティに富むオリジナルな研究が多く、招へい者には大いに刺激になったと思います。
産業ミュージアムとしては、北九州市内のTOTOミュージアムを見学しました。計画立案、現地案内を学生に担当してもらいました。水回り製品・衛生陶器の系譜は国によって異なりますが、興味をもってもらえたようです。
小生がさくらサイエンス招へいのお世話をしたのは今回が2回目ですが、すでに昨年の招へい者の中から学生派遣や共同研究が始まっており、タイ側の日本との交流への期待の大きさを感じています。今回の招へいからも、必ずや新しい共同研究が始まることと期待しています。次年度以降も、今回の成果をもとに、日本-タイ間の交流を一層発展させるプログラム展開を考えたいと思います。
最後に、招へいの機会をいただいた「さくらサイエンスプログラム」、訪問を受け入れていただいた先生方、研究室や施設、キャンパスツアーの英語ガイドをお引き受けいただいた事務のジョブチャレンジチーム、事務作業を手伝っていただいた関係各位、さらには、3訪問団の合同シンポジウムというチャレンジングな企画を共同で実現してくださった同僚の先生方に深く感謝いたします。