2019年度活動レポート(一般公募コース)第278号
東アジアの大気環境問題に関する日韓共同ワークショップ
東海大学からの報告
2020年1月13 日~1月18日の6日間、大韓民国ソウル大学校師範大学付属高等学校の生徒を東海大学湘南キャンパスに招へいし、大気環境の測定を通じた科学技術交流を行いました。参加者は、さくらサイエンスプログラムによる招へい者10名、自己資金による招へい者6名、引率教員2名の計18名でした。
現在、東アジアには微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染などの共通の環境問題があります。本計画では、日本と韓国において捕集したPM2.5の化学分析およびデータ解析、さらには火山ガスの測定を通じて、グローバルな視点で環境問題に取り組む姿勢を養うことを意図しました。
微小粒子状物質(PM2.5)の測定
来日前の事前学習として2019年7月から10月にソウル大学校師範大学付属高等学校においてエアーサンプラーを用いてPM2.5試料を捕集し、来日後プログラム2日目に東海大学において電信天秤を用いた重量法によるPM2.5濃度の測定、水溶性イオン成分(陽イオン、陰イオン)の抽出・分析、後方流跡線解析による気団経路の推定などを行いました。
またプログラム5日目に、同時期に神奈川県平塚市および島根県松江市で捕集したPM2.5試料の分析結果と比較して、ソウル市のPM2.5汚染の現状、大気汚染メカニズムに関する考察、将来に向けた対策法の提案等についてグループ討議を行いました。
最後に3つに分かれた各グループの代表者が、討議結果をまとめて発表し、東海大学・関根嘉香教授、大学院生らから質問やコメントを受けました。空気には国境がありません。生徒たちが国境を越えた環境問題に対して考える姿がとても印象的でした。
箱根で火山ガスのモニタリング
プログラム3日目は株式会社ガステックを訪問し、火山ガス測定用の検知管作りを体験しました。またプログラム4日目、生徒たちは自分たちで作成した検知管を神奈川県箱根町の大涌谷に持参し、火山ガスの濃度を実際に測定しました。火山活動の様子を見学するだけでなく、においの元になっているガスを数値化して知ることができ、空気の可視化技術の有効性を実感できました。
総括
最終日、各自に関根教授より修了証が手渡されました。また生徒から日本側スタッフ・協力者に対してお礼の手紙が渡されました。