2019年度活動レポート(一般公募コース)第228号
日本の薬剤師業務を体験し、高度医療技術を支える薬学教育・研究と日本文化に触れる
岡山大学からの報告
2019年10月20日から26日までの7日間の日程で、「さくらサイエンスプログラム」の支援をもとに、サン・カルロス大学の薬学科長を引率者とする一行6名(若手教員1名、大学院生1名、学部学生3名)を岡山大学に招へいしました。
サン・カルロス大学は、フィリピンのセブ島の中心であるCebu Cityに4つのキャンパスを有する総合大学であり、岡山大学とは2018年1月に大学間交流協定を締結しました。本プログラムの目的は、岡山大学病院および市内保険薬局を見学することで、最先端の薬剤師業務を理解するとともに、日本の薬学教育および薬学研究に触れることで、次世代を担う若手教育者から日本の先端技術への関心を引き出し、教育・研究交流を強化することでした。
研究交流では、岡山大学薬学部の3研究室から最新の研究内容を紹介後、研究室を見学しました。特に、参加者は最新の分析装置に興味を持ち、数多くの質問をしていました。中には、特に強く惹かれた研究内容について、帰国後も質問を続ける参加者もいました。
岡山大学病院薬剤部では、日本における薬剤師業務の説明を行った後に、薬剤部見学を行いました。説明会では、熱心にメモを取っている姿が印象に残っています。業務見学では、特に注射薬自動払出システムをはじめとする最新の医療機器に関心を持ったようでした。
マスカット薬局は、日本の中でも先進的な取り組みを行っている薬局で、これからの日本の薬局が目指す方向も含め紹介をいただきました。特に、地域活動に保険薬局が関与をはじめていることに驚かれておりました。
科学技術交流として、姫路科学館を見学しました。姫路科学館では、「実験体験」が可能であり、実験を通じ自然現象の理解を深めました。文化交流では、姫路城を訪問しました。参加者は、日本の歴史に興味を持ち、一緒に見学した教員の説明に耳を傾けました。
最終日には、参加者に今回のプログラムの感想や興味を持ったことを発表してもらいました。日本とフィリピンの薬剤師業務の違い、研究環境の違いなどはもちろんのこと、国民性の違いにまで話は広がり、大変充実した発表会でした。また、参加者のプレゼン能力の高さは目を見張るものがあり、岡山大学の教員・学生にとっても良い刺激となりました。
本プログラムは昨年に続いて2回目です。昨年のプログラム実施後には、サン・カルロス大学の学部講義を岡山大学の教員が受け持つようになり、9月には岡山大学からサン・カルロス大学に学生3名を派遣するなど、継続的な相互交流に繋がっています。また、相互に学生を派遣することで、学生同士のコミュニケーションがより密になっていくことを感じ取れました。今後、次世代を担う若手の国際交流に発展することを期待しています。
最後に、このような有意義な国際交流の機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」に心より感謝申し上げます。