2019年度 活動レポート 第30号:奈良女子大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第030号

基礎理学に関するバングラデシュとの学術交流ならびに高度人材育成基盤の持続的構築

奈良女子大学理学部・化学生物環境学科・環境科学コース
高須 夫悟さんからの報告

2019年7月21日から同年7月27日にかけて、奈良女子大学の海外協定校であるバングラデシュのチッタゴン大学から学部学生10名と教員1名を招へいし、さくらサイエンスプログラムの科学技術体験コースによる学術交流プログラムを実施しました。奈良女子大学理学部・化学生物環境学科・環境科学コースで行っている数理的手法を用いた個体群動態の講義と計算機を用いたシミュレーション実習を学術交流の主な軸とし、奈良女子大学学生と英語による文化交流を実施することで、チッタゴン大学との持続的学術交流基盤の強化を図りました。

授業中の一コマ

学術交流の具体的内容は、非線形力学系としての個体群動態の数理と計算機を用いた数値シミュレーション実習です。今回招へいした学生達は森林生態学と環境科学を専門とし、統計学ならびに数学の基礎知識は既に習得済みであるものの、数理の視点から単純な仮定の下で複雑な現実系を抽象モデルとして記述する数理的解析手法は初めての経験でした。実質5日間の講義と計算機シミュレーション実習を通じて、自ら数理モデルを組み立てて解析する実践的スキルを見つけることが出来ました。この体験は、今後彼女たちが大学院などの場でより高度な修学と研究活動を行ってゆく上で貴重な経験となると思われます。

計算機実習中の一コマ

学術交流以外の活動として、環境科学コースで行っている科学英語の実践能力を高める授業ならびに今年度奈良女子大学に新たに新設された国際空間Coto Queにて、今回招へいした学部学生10名と教員1名のチッタゴンチームと本学学生との交流会を実施しました。生の英語でバングラデシュと日本の文化(漫画やドラマ、音楽など)などフリートークすることで、英語で聞く・考える・自分を表現する体験を積んでもらいました。

実践科学英語演習にて環境科学コース学生と交流

また、バングラデシュから持ち寄ったスパイスを使ってビリヤニ(バングラデシュやインドで一般的な炊き込みご飯)をチッタゴンチームが振る舞ってくれるなど、プログラム活動以外の時間帯でも本学学生と交流しました。奈良女子大学は大学を挙げて学術交流の国際化に力を入れていますが、チッタゴンチームを1週間本学に招へいすることで、本学学生にとっても国際化への意識の向上につながったと考えています。

ビリヤニを料理するチッタゴンチームとこれを手伝う本学学生

本事業の支援によるチッタゴン大学からの招へいは今回で3度目となります。これまでの招へいでは大学院生を招へいしてきましたが、今回は、チッタゴン大学大学院への進学意欲を高めたいという先方の意向に沿って、学部学生を招へいすることとなりました。本プログラムへの参加によって学部学生の先方での大学院進学意欲ならびに日本への留学意識が高まったと感じています。また、招へいしたチッタゴン大学教員と本学教員複数との研究上の交流も行い、本学とチッタゴン大学の間で持続的な学術交流基盤を強化することが出来ました。本プログラムを支援していただいたJSTに厚く御礼申し上げるとともに、是非とさくらサイエンスプログラムを今後も継続して頂けることを強く希望します。

修了証書と共に記念撮影