2019年度活動レポート(一般公募コース)第016号
「最先端情報通信技術における日印トップレベル大学研究交流プログラム」実施報告
東京大学大学院情報理工学系研究科
教授 須田 礼仁さんからの報告
東京大学大学院情報理工学系研究科では、2019年6月23日から7月13日まで、インド工科大学デリー校、ハイデラバード校、カラグプール校、マドラス校より合計10名の学生(大学院学生7名、学部学生3名)と教員1名を招へいしました。
我が国の情報通信技術で世界をリードする東京大学情報理工学系研究科に、インドの最高学府IITでも最優秀のコンピュータ科学の学生を招へいして、世界最高レベルの共同研究を実施することが交流の目的であり、今回は、複数年度で採択された交流計画の3年目となります。
本プログラムは、これまでの連携を礎に、双方の担当教員により、IITから優秀な学生を選抜し、本研究科が世界的に強みを持つスマートシティ、高性能計算、先端アルゴリズム等の研究室にて世界水準の研究を体感してもらうとともに、我が国の情報通信関連の科学技術のすぐれた点を総合的に理解することができるような企画になっています。IITハイデラバード校、デリー校、マドラス校と本研究科とは、これまでも連携を進めてきましたが、今回は初めてIITカラグプール校からも1名参加がありました。IITカラグプール校の学長が本学を訪問したこと契機に、情報理工学研究科と学生交流の覚書が締結され、今後さらにカラグプール校との学生交流が発展していくことが期待されます。
プログラム初日には、日本文化を体験してもらうため、1日日本語教室および茶道体験を実施しました。また、期間後半にはチームラボプラネッツと鉄道博物館への日帰りバス旅行を企画しました。チームラボプラネッツは、コンピュータグラフィクス・ユーザインターフェース・AIなど情報理工技術から作った展示であり、学生にとって、その技術の応用例から学ぶことが多くありました。一方、インドでは日本の新幹線方式を採用した高速鉄道プロジェクトが進行中であり、鉄道博物館にて我が国最先端の鉄道技術に関する知見を一層深くすることができたと考えます。引率教員には、集中講義を行っていただき、本学の学生がインドの最先端の研究の一端に触れる機会となりました。
世界の先端をゆく本学の研究に触れることで研究への興味に目覚める学生も多く、本プログラムでの体験により着実に成果が上がっていることを実感しています。例えば、訪問先研究室にて、学生自身の持つ知識やこれまでの経験を教授にぶつけてみたり、その研究室が取り組む課題の一部に関与してみたりする中で、本学の研究に対して新鮮な感覚を持ったようです。それに加えて、日本文化への理解、わが国の同年代の学生との交流事業を通して、日印を結ぶ人的ネットワークを醸成し、多くの優秀な人材の日本への継続的な興味を喚起することができたと考えています。
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、これまで本研究科ではインド工科大学からの学生受入を4回実施しました。これまでの経験を蓄積して、短期間ながらも充実した研究環境を提供することを中心に、さまざまな日本の文化に触れられるような機会を提供してきました。今後とも、より多くの優秀なインド人学生に日本のすばらしさと本研究科のすぐれた研究環境を体験してもらいたいと考えています。同時に、インド人学生受け入れが本学の在学生にとって大きな刺激になることを実感しており、本学の教育の高度化にも貢献が期待できると確信しています。