2018年度 活動レポート 第355号:宮城県立古川黎明高等学校

2018年度活動レポート(一般公募コース)第355号

タイ王国の高校生のための日本の科学技術と農業に関する体験研修事業

宮城県立古川黎明高等学校からの報告

平成31年2月22日から2月27日まで、本校と交流提携を締結している姉妹校であるタイ王国南部のサトゥン県にある中高一貫教育校であるPrincess Chulabhorn Science High School サトゥン校(PCSHS)より生徒6名と教員2名(1名は自己負担)を招へいして交流を行いました。

今回の交流は「タイ王国の高校生のための日本の科学技術と農業に関する体験研修事業」というテーマのもと、宮城県内の大学や企業の協力をもらって日本の科学技術、災害科学、世界農業遺産である大崎耕土に関する研修を行うと共に、研究発表を通した交流を行いました。

羽田空港に到着

1日目

日本入国後、宮城県に移動し、トヨタ自動車東日本株式会社大衡工場での研修に参加しました。同社の最新技術や地方創生に関する取り組みの講義や、工場内の自動車製造の様子を見学しました。

2日目

午前中仙台市を訪れ、東北大学災害科学国際研究所准教授で、タイ王国出身のサッパシー・アナワット先生から自然災害のメカニズム等に関する講義を受けた後、災害にどう備えるべきかディスカッションしました。さらに、東北大学で学ぶタイ人の留学生の皆さんにも集まっていただき、日本への留学や、現在の研究等について話を聞き、生徒達も熱心に質問する姿が見られました。

午後は仙台市の震災遺構の旧仙台市立荒浜小学校やその周辺を訪れ、東日本大震災による津波被害や、復興の様子を見学しました。タイ南部でも地震の際に津波の被害を受けることがあり、大震災の津波被害の様子や復興の様子を食い入るように見学していました。

荒浜小学校見学

3日目

本校が位置する宮城県大崎地域は水田農業が盛んな「大崎耕土」として、国連食糧農業機関(FAO)より世界農業遺産の認定を受けています。午前中に本校で大崎耕土に関する講義を受けた後、午後はフィールドワークに出向き、大崎市岩出山内川における巧みな水管理システムや、大崎市古川の農家の佐野さん宅の屋敷林の「居久根(いぐね)」における豊かな生物多様性について学びました。今年は暖冬でしたが、フィールドワークではまだ雪が残っている所も見られ、タイからお越しの皆さんも初めて雪を見て喜んでいました。

フィールドワーク(居久根)

4日目

授業を通した交流を行い、本校の生徒と共に化学実験等に取り組みました。

化学実験の様子

5日目

午前中にタイからお越しになった先生の生物の授業や、本校の情報科学の授業を通して高校生同士が交流し、午後は本校の課題研究発表会に参加し、課題研究の口頭発表やポスターセッションを行い、本校の生徒と科学的な交流を深めました。この日の夕方には本校を出発して翌日の研修と出国に備えて東京に移動しました。

ポスター発表

最終日

東京の日本科学未来館を訪れ、最先端の科学技術や、科学技術と人間生活の将来について学び、考え、帰国の途につきました。

本校とPCSHSとの科学交流は6年目を迎えますが、昨年度に引き続きさくらサイエンスプログラムを活用させていただき、科学的な研修内容をより充実させることができました。JSTの皆様をはじめ、研修にご協力いただいた大学、企業、関係機関の皆様に深く御礼申し上げます。