2018年度活動レポート(一般公募コース)第353号
化合物の構造情報を基にした新しいがんについての日印共同研究プログラム
微生物化学研究会微生物化学研究所からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、インド工科大学インドール校から教員および研究員の計2名が、平成31年2月27日から3月15日までの約2週間、微生物化学研究所第1生物活性研究部に滞在し、研究活動を行いました。
最初のきっかけは、一通のメールでした。今回来日した研究員からさくらサイエンスプログラムを利用して私たちのラボで研究したいというものでした。その後、同教員からも同様の要望をいただきました。私たちの研究所は放線菌やカビなどの培養液から抗生物質や抗がん剤の基となるような活性物質を発見し、その作用や効能を調べています。彼らは私たちの研究、特に抗がん活性を示す天然由来の化合物の活性にとても興味を持ったそうで、その化合物について一緒に研究させて欲しいという内容でした。
何度かメールでのやりとりを行なっているうちに、彼らの熱意と研究のプロポーザルに共感し、さくらサイエンスプログラムに応募してみたところ、幸運にもサポートしていただけることになりました。
彼らにとって来日は短期の旅行も含めて初めてであり、初日から都内の人の多さと電車の清潔さに驚いていました。研究活動の初日は、私たちの研究所を見学しアクティビティを紹介した後に、彼らのこれまでの研究活動についてプレゼンしてもらい、今回の滞在中に行いたい研究計画についても提案してもらいました。ラボメンバーとも相談し、2週間で終えられる様に計画を再調整し、活動をスタートさせました。
具体的には私たちが開発したがん細胞と正常間質細胞の共培養実験法を習得してもらうとともに、彼らが興味を持った私たちの化合物とその標的たんぱく質とのドッキングスタディーや細胞を使用した作用機構の解析を行いました。
また、滞在中には私たちの研究所の支所がある静岡県沼津市も訪れ、沼津支所の研究員との交流も深めました。彼らは富士山を見ることを願っていたのですが、生憎曇りの天気で見ることができずとても残念でした。しかし、沼津へ移動するために乗車した新幹線にはとても喜んでいました。
そして最終日には研究活動のプログレスレポートを行なってもらいました。時間が限られている中でしたが、極めて新しい知見が得られ、また帰国後もさらに継続させ発展させていこうということになりました。
今回の来日をきっかけに、双方において大変有益な時間が得られたとともに、今後の研究活動の発展につなげることができたのは大変有意義でした。また、ラボメンバーも短期間ではありますが、海外の研究者と触れ合う機会を得られとても刺激になりました。このようなサポートをいただき、さくらサイエンスプログラムには大変感謝いたします。