2018年度活動レポート(一般公募コース)第197号
中国の青年医師が腰椎変性疾患に対する低侵襲手術の有用性の評価を学ぶ
千葉労災病院 山縣 正庸さんからの報告
11月5日来日、事前よりメールで打ち合わせをしていた通り、スムースに滞在宿舎に到着できました。夕食をともにしながらの研修オリエンテーションを行いました。研修生は西安交通大学付属第一関連病院で勤務し脊椎外科を目指す30代の青年医師です。
非常に飲み込みが早く翌11月6日には朝8時までに公共交通機関を利用し研修期間である千葉労災病院へ自力で到達しました。
予めスタッフと打ち合わせをしていたために、時間通りに9時からの脊椎手術、また午後は脊椎内視鏡手術を見学できました。夕方には千葉大学に向い、整形外科医局での医局会に参加して、脊髄損傷について基礎的研究発表を行いました。活発な意見交換で、今後帰国してからの研究方針も討論しました。
7日には労災病院での手術見学を朝から夕方まで、手術内容はCTナビゲーションを用いた腰椎固定手術、内視鏡下ヘルニア摘出術、また骨形成的椎弓切除術など、中国ではまだ一般的ではない手術手技について見学し、その手術適応について研修しました。
夜には当院研修生と食事を取りながら、中国と日本の医療の相違、研修法の相違について議論しました。
8日は佐倉市にある聖隷佐倉市民病院で成人脊柱変形の長範囲矯正固定手術、前後合併腰椎固定手術を見し、術後もスタッフと適応について議論しました。往復ともJR及びタクシーを用いての移動でしたが、特に問題はありませんでした。
9日は労災病院での手術研修、10日は幕張で開催された、千葉・筑波手術手技講習会に参加しました。講習会は日本語での発表でしたが、主にビデオを用いての発表であったため、十分理解できたとの事でした。
11日は日曜で研修は無く、フリータイムとしましたが、千葉市でのショッピング、東京スカイツリー、明治神宮見学までしたとの事でした。
12日は終日労災病院での手術見学を行いました。
13日は千葉中央メディカルセンターでの手術見学を行いました。同8時には英語でのカンファレンスに参加し、手術では特殊な機材を必要とする経皮的脊椎手術手技について学びました。
14日は帰国日でしたが、労災病院での最後の研修、腰椎の固定手術を見学しました。手術中に除圧の方法、如何に侵襲を少なくするかの低侵襲手術手技、また、神経モニターやナビゲーションについて研修しました。当該施設は中国にはありませんが、今後,同様な装置が開発されつつあり、脊椎の手術を安全に行うには必要である事を認識してもらいました。
研修中、脊椎固定手術の適応について議論し、今後共通の安定性評価を行う事としました。また術前、術後患者評価法についても日本で独自に開発普及しているJOA評価法を説明し、今後の脊椎手術評価に役立てるようにしました。
今回の研修では短期間ではありましたが頸椎から腰椎まで、また成人脊柱の変形矯正という侵襲の非常に大きな手術から、低侵襲手術の内視鏡手術まで非常にバラエティに富んだ手術研修が可能でした。今後はメール等で情報の交換を行う事としました。