2018年度活動レポート(一般公募コース)第123号 (Cコース)
バングラデシュ国立農業研究所の若手研究者が養液栽培技術を学ぶ
島根大学からの報告
2018年9月24日~29日にバングラデシュ国立農業研究所から若手研究者7名がさくらサイエンスプログラムにより来日し、島根大学生物資源科学部で養液栽培技術の研修を受けました。バングラデシュ国立農業研究所とはバングラデシュ農業大学とともに2017年に交流協定を締結しています。
バングラデシュは、面積が日本の約4割、人口は1億6千万人を超えています。主要産業は衣料品・縫製品産業と農業です。その中で食糧増産が望まれており、乾季だけに稲作を行う高収量コメが導入され、化学肥料、農薬、水を多用して作物を栽培したことから、高価な化学肥料や農薬は生産コストを増大させ、残留化学肥料や農薬により農作物の品質低下を招いています。
また、大量の地下水摂取により、地下水位の低下、枯渇、場所によっては自然のヒ素が地下水に混ざるようになりました。一方、伝統的に雨季に稲作、乾季に野菜等の栽培を土地無し農民が担ってきたところ、乾季コメのモノカルチャーに変わっていったために農村にいた農民が雨季の仕事をなくし、都市の貧困層を形成するようになりました。
そこで、バングラデシュの若手研究者を日本に招致し、土壌を使用しない養液栽培技術を習得し、効率的な水利用を図るとともに、バングラデシュの安全な食料生産と貧困農家の所得向上を目指して、このプログラムを実施しました。
来日前は台風24号の影響で閉鎖されていた関西国際空港も使用できるまで回復しました。当日、飛行機の機材トラブルで到着が遅れ、予定では新大阪からバス利用でしたが、松江までJRで来ることになりました。
2日目である9月25日から、養液栽培に関する研修を生物資源科学部附属本庄総合農場で行いました。培養液の作成、養液栽培システム、トマト、メロン、イチゴの養液栽培などを学びました。
3日目には学長表敬訪問、そして松江城見学を行いました。4日目には出雲市にある島根県立農業技術センターでイチゴの養液栽培研究施設を見学し、出雲大社へ。午後からは安来市の干拓地にあるトマト養液栽培生産者視察、そして日本庭園と日本絵画などを鑑賞するために足立美術館を訪れ、日本の農業だけではなく、日本の文化にも触れることができました。
来日した7人の研究者は初めての来日でしたが、充実した6日間を過ごし、台風25号に追いかけられるように帰国しました。
今後、彼らがバングラデシュでどのように養液栽培技術を発展させ、バングラデシュ国民の健康と農家の所得向上を担っていくのか、その夢と課題について彼らと時間の許すかぎり話し合いました。彼らの活躍を願いつつ、さくらサイエンスプログラムが修了しました。