2018年度活動レポート(一般公募コース)第042号
高校理科教育の中核となる教員養成系学生のための探究型理科研修プログラム
三重大学教育学部からの報告
三重大学の協定校であるベトナムのホーチミン市師範大学で高校理科教員を目指す学生を対象とした理科教育研修プログラムを企画し、平成30年6月26日から7月5日まで、10名の大学生・大学院生と1名の引率教員を招へいしました。
本事業の支援を受けてこのプログラムを実施したのは今回が4回目となります。これまでに参加した学生・引率教員は大きな刺激を受けて「Sakura Club」を設立し、小中学生や高校生を対象としたサイエンスショーを行ない、教員になってからも、ベトナムにおけるSTEM教育を推進しています。
この交流計画では、日本の理科教員養成に関する大学での講義や実験の受講をはじめ、SSH校である高校の授業視察や高校生との交流を通じて、日本の高校理科教育を学ぶとともに、科学館で体験活動を行うことで、参加者が探究型理科教育のあり方について考えることを目的としています。
開講式と学長表敬訪問
1日目は、開講式に続いて教育学部の荻原彰教授(理科教育学)が、高校理科カリキュラム、高校理科教員の養成、および高校理科教育の現状と課題について講義をしました。
2日目には自分たちで作成したオリジナルシャツを着て、三重大学の駒田美弘学長を表敬訪問して受入に感謝を述べ、歓談をしました。
理科教育に関する実習と先端研究室訪問
期間中、教育学部において物理、生物、化学、地学、そして家庭科の6つの実習を受けました。身近な材料や自然を扱い、基礎から応用にかけてSTEM教育で必要な内容を学んでもらいました。
4日目には工学研究科で先端的研究を行っている2つの研究室を訪問しました。1つは紫外線LEDの研究開発を進めている三宅秀人先生で、交友のあるノーベル賞を受賞した先生方とのエピソードを交えながら、光に関する講義と実習をしてくださいました。さらに、今年度設置された世界で最も高品質の半導体結晶を作成する研究装置の説明を受けました。工学研究科の勝又英之先生による水質浄化や水素製造法に関する研究では、勝又先生による全体説明に続いて、2名の大学院生が海外での研修の紹介をしてくれました。海外の研究室で自分たちの成長を熱く語ってくれ、海外での体験がいかに重要であるか、思いを共有していました。
小中学校および高校の授業見学
8日目には三重大学附属小中学校を訪問し、児童が理科室で学習する様子を参観し、小学校教師の授業力や児童の観察記録のレベルの高さに驚いていました。高校については、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている津高等学校に2日目、と四日市高等学校を8日目に訪問し、物理、化学、生物の授業参加とともに、科学部の生徒たちと一緒に実験を行いました。その様子は地元の新聞にも掲載されました。
科学館等の見学
4日目には三重県総合博物館、5日目には大阪市立自然史博物館と大阪市科学館、6日目には名古屋市立科学館を見学しました。土日で来館者が多い中、すべての科学館で概要説明を丁寧にしていただき、見学させていただきました。参加者は、展示物や体験実験の動画を自分たちで解説しながら記録していました。
成果報告会とサイエンスショー
9日目にはプログラムで学んだことを二人一組で報告しました。全員が、「教員になったとき、今回得た知識を活かしたい」、「授業参観でみたことをモデルとして、今日委員になったら授業で実施したい」といった内容を語っていました。それに続いて、修了式を行い、修了証およびさくらサイエンスのバッジを贈呈しました。
その後、入念に準備されたサイエンスショーを実演してくれました。今回は、「アナと雪の女王」の劇を演じながら、ストーリーに合った内容の実験を繰り広げるというものでした。物語の中に科学実験を位置づけるというスタイルをSakura Clubが考案し、次々に新しいものを作り出しているようです。
招へい者らは、10日間の体験をまとめてYoutubeにもアップしています
(https://www.youtube.com/watch?v=YfWNNHMmCk0&feature=youtu.be)。今後の活躍を誓って、そして、再会することを願って帰国しました。