2017年度活動レポート(一般公募コース)第405号
ベトナム国家大学ハノイ校ハノイ科学大学の学生が北九州の環境保全技術を学ぶ
北九州市立大学国際環境工学部教授 安井英斉さんからの報告
3月3日にベトナム国家大学ハノイ校ハノイ科学大学のNguyen Thi Ha環境化学科長が10名の学生を率いて来日しました。
北九州市立大学は、2014年度にベトナム政府より高度人材育成事業(Project 911)の第1号として認定され、また、日本の協力によって2016年にハノイに開設された日越大学(ベトナム国家大学ハノイ校傘下)の協力校にもなっています。本学のさくらサイエンスプログラムは、ベトナム政府・日本政府の国費留学生候補者や本学への私費留学希望者を短期招へいすることで、これから開始していく大学院の共同教育や受け入れ研究室などにおける共同研究のマッチングと人材育成の方向を確実にすることを意図して実施するものです。
ベトナムの大学は教育研究設備が不充分で座学が中心となっていることから、交流の計画においては、特に本学で充実している環境分析の実験実習をプログラムに組み入れるとともに、公害を克服してアジアの環境首都を目指す北九州市の関連施設を視察に加えることで、研究と実務の融合を狙いました。また、招へいの学生はいずれも初来日となることから、初日と2日目は自然と歴史が豊かな九州北部の代表である太宰府天満宮・別府温泉・門司港レトロ地区・下関唐津市場・小倉城なども見学コースに含めました。そして、別府温泉では、温泉水(地下熱水)に含まれる金属資源(リチウム)の成分分析実習・理論計算用に各地下熱水のサンプリングを実施し、現場見学と大学での実習を関連付けるようにしました。
第3日から6日目は、環境資源系・バイオ系・化学プロセス系の3分野を中心に各種実験と講義を実施しました。ベトナムの大学で受講機会が限られる実験実習では、本学に留学したベトナム人の先輩による華麗な操作にため息がもれていました。また、北九州市がオープンした水ビジネス推進のための下水処理施設ビジターセンターや海水淡水化プラントデモ装置、日本有数のエコタウン(廃棄物再資源化施設)の見学を通し、産業活動と環境保全を調和させながら発展していこうとするわが国の地方都市の姿に感動を覚えたようです。
最後の7日目は、お互いの大学による学生研究発表会を開催しました。いずれの学生も相手の大学の学生に感銘を与えられるよう一生懸命に事前準備していた甲斐あって、通常の学会発表以上の出来映えになりました。研究発表会後は、さくらサイエンスプログラム修了証の授与式に移り、記念撮影を行いました。
最終日の夜は北九州市立大学の留学生と日本人学生による送別会で日本料理と各国の料理を楽しみました。7泊8日の日程はあっという間に過ぎ、今後の留学や共同研究トピックを思い描きながら、みなさんは無事にベトナムに帰国しました。