2017年度活動レポート(一般公募コース)第399号 (Aコース)
ラオスのアグリビジネスに関わる人材を育成す
宇都宮大学からの報告
ラオス国立大学農学部の一行を出迎えるために、3月4日早朝6時半頃に成田空港第1ターミナルで待機していたのですが、8時を過ぎても一向に出て来ない。悪い予感! 8時20分頃にようやく航空職員とともに一行が姿を現しました。職員の説明によると、他の乗客が学生のスーツケースを間違えて持ち帰ったとのこと! 幸い、2日後に無事戻ったのですが、その日のスケジュールの大幅変更を余儀なくされました。こうしたリスクも考慮して余裕のあるスケジューリングが大切であることを身をもって感じました。最先の悪いスタートではありましたが、その後は順調かつ有意義な研修ができました。
本研修の主眼は、日本の農業生産の現場、技術開発とその普及の仕組みと実態を把握し、ラオス農業発展への参考に資することでした。そのために①講義のみでなく、②フィール視察に重点をおいてスケジュールを組みました。①については、日本農業の担い手不足を認識してもらうとともに、伝統的農産物であるこんにゃくやお茶を題材に、フードシステム(農業生産・流通、食品加工・消費)がグローバル化していくプロセスとその影響下における地域固有の農業・食文化の現状と展望について講義を行いました。②は、様々な農業生産及び加工・販売、さらには技術開発の現場を訪問し、その実態を肌で実感させることができました。以下、フィールド視察の概略です。
- a)ローカルフードシステムに関する講義の後に、それに関連した農家女性加工組織の加工施設を訪問し、そばをはじめとした伝統的な日本の家庭料理を食べながら、組合員と交流を行いました。
- b)鹿沼市の先進的花き経営(イッセイ花園)を訪れ、シクラメン等が高価な価格で取引されていることに驚嘆していました。その後、農業生産法人かぬまを訪れ、農作業受託やハト麦製品の開発など活動概要を学びました。
- c) 栃木市の下都賀農業振興事務所を訪問し、農業普及の仕組みと普及指導員の業務内容に関する説明を受けた後、普及員の実際の指導対象であるトマト農家を訪問し、農家の立場から農業普及システムの活用とメリットについて話を聞きました。
- d)益子町の(株)誠和のトマトパークにて、高度トマト栽培施設の視察と農家への技術指導体制について学ぶとともに、施設自動環境制御技術に関して説明を受けました。その後、JAはが野が運営する観光いちご栽培団地の仕組みと運営を学び、いちご狩りも行きました。
- e)最後の休日には日光東照宮を見学し、日本の伝統建築・文化を堪能しました。また、地域伝統食を体験した昼食会場近くでは雪が残っており、初の経験に学生達は興奮していました。
- f)最終日は、これまでの講義・フィール調査を通じて学んだ事や感じた事について、各自10分のプレゼンテーションを行い、日本の学生・教員との意見交換を行いました。夕方には送別会を開催し、宇都宮大学の学生が沖縄のエイサーを、ラオス国立大学の学生はラオスの伝統的舞踊を披露し、お互いがそれぞれの踊りの輪を加わりました。