2017年度活動レポート(一般公募コース)第363号
日本の最先端膜分離技術を使ってベトナムの水環境汚染や水資源不足に挑む
長崎大学からの報告
長崎大学大学院工学研究科国際水環境工学コースは、平成29年3月5日(月)~3月11日(日)にベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学環境自然資源学部からの代表8名(教員2名、学生6名)を長崎に迎え、「日本の最先端膜分離技術を使ってベトナムの水環境汚染や水資源不足に挑む」と題した科学技術交流事業を実施しました。
近年、ベトナムにおいては水環境汚染や河川における海水遡上による塩水混入など水道水水源の水質悪化が深刻化してきていますが、日本が世界トップの技術力を誇る「逆浸透膜」は水処理技術の中でも最高位の浄化技術であり、これら水道における課題を解決できる手段として最有力の技術です。
このような背景から、本交流事業において、分離膜製造会社及び地元エンジニアリング企業らと連携して、ベトナム南部最高位のホーチミン市工科大学の学生に日本の最先端水処理技術の知識と理解を深めてもらうことで、本コースへの修士課程への入学や日本企業への就職など将来の再来日に繋げることを趣旨としました。
本事業は膜処理技術全般を知ることができる内容になっており、基本的に午前中は大学教員および企業の熟練エンジニアからの講義を実施し、午後からはその講義で学んだことを実践するために、実際の膜(精密ろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜、等)を使った水処理試験の実習を実施しました。
特に印象に残った点として、学生の講義に対する姿勢が非常に良く、分からない部分や疑問点があれば積極的に質問を投げかけてきました。また、佐世保市水道局における水処理施設見学では、見学前の概要説明に対する質問の内容が、動力エネルギーや膜処理後の水質、廃棄物の取り扱いなどより実用的なことの質問が多くありました。
ホーチミン市校工科大学ではより実用的な教育を行っていると聞いていましたが、目の前で実際に体験することができました。一方で受入れ側の反省点としては、水処理試験装置の数的な制約上、招へい者が交代交代に実習する必要があり、もう少し実際に手を動かしている時間があった方がよかったことが挙げられます。来年度以降の事業にて実習内容を変えるなどして、この辺を改善していきたいと思います。
最後に、本事業の遂行に多大なご協力いただいた関係者(長崎県文化観光国際部国際課、佐世保市水道局、協和機電工業株式会社、日東電工株式会社)の皆様に厚くお礼を申し上げます。