2017年度活動レポート(一般公募コース)第153号
アジアの人材ネットワーク形成のための交流プログラム
産業技術総合研究所 計量標準総合センターからの報告
産業技術総合研究所(AIST) 計量標準総合センター(NMIJ) では、2017年8月27日から9月3日にかけて、アジア5か国の国家計量標準機関から合計9名(カンボジア国家計量標準機関2名、フィリピン産業技術開発研究所3名、台湾工業技術院1名、タイ国家計量標準機関2名、ベトナム国家計量標準機関1名)の研究者および職員を招へいし、交流計画を実施しました。
NMIJ/AISTは日本の国家計量標準機関として、様々な物理量、物質量の国家標準を開発・維持・供給し、計量標準の普及に努めています。
今回は、NMIJの専門家の講義を通して、招へい者に、日本における計量標準に関する研究成果や品質システムなどについての知識を深めてもらうとともに、同時期にNMIJで開催された日中韓若手研究者ワークショップにも参加してもらい、同世代の日中韓の研究者とも交流することで、若手同士の連携活動強化にもつながるよう計画を策定しました。
8/28 午前
計量標準総合センター長からの挨拶、NMIJ/AISTの組織紹介の後、まずは参加者全員からそれぞれの研究機関の紹介と、各自の研究紹介を行っていただきました。互いの国の国家計量標準機関の現状を直接知るよい機会となりました。
8/28 午後~8/29
計量関係の講義として、NMIJ国際計量室長からメートル条約について、アジア太平洋計量計画 (APMP) の議長からアジア太平洋地域の計量標準に係る業務・研究の現状について、メートル条約傘下の単位諮問委員会 (CCU) の日本代表からキログラムの定義改定について、基本から最新の話題までの貴重な内容をお話いただきました。
8/30~9/1
NMIJで開催された日中韓若手研究者ワークショップ(Emerging Scientist Workshop 2017)に、オブザーバとして参加をしました。ワークショップに参加した日中韓の中堅・若手研究者やNMIJの先輩研究者との議論と交流、将来の機関連携を考えるグループディスカッションなどを行いました。
9/2
東京へ移動し、上野にある国立科学博物館を訪れました。ここには計量関係の展示として、NMIJの前身である工業技術院計量研究所から移された資料が多数あります。キログラム原器やメートル原器の複製以外にも、さまざまな量の標準器を見ることができました。
また、計測の原理や最先端の科学を実際に体験する展示も多数あり、日本の科学技術に触れてもらうよい機会となりました。
今回の約1週間の滞在を通して、日本の研究者や5か国の参加者同士の交流を深め、また日本や世界の最先端の計量・科学技術にも触れてもらえたと考えています。将来、彼らがそれぞれの機関の幹部となり、NMIJとの機関連携をさらに発展させてくれると期待します。