2017年度活動レポート(一般公募コース)第123号
GNSS国際サマースクール2017を実施
東京海洋大学からの報告
今年で5回目となるGNSS国際サマースクールは、7月31日(月)~8月5日(土)までの6日間、例年通り東京海洋大学越中島キャンパスで開催されました。2015年からはさくらサイエンスプログラムに採択されたため、東京海洋大学海洋工学部主催、測位航法学会共催の形で、引き継がれています。
世界的にも好評価が拡がり、127名もの奨学金申請が有りました。その中からさくらサイエンスプログラムの資金から16名、企業からのサポートで4名(さくらサイエンスプログラム非対象国)、計20名の参加学生を決定しました。
半数は日本人受講生を加えたいという思惑もあり、最終的に海外からの自己負担等による参加者8名を含め、外国人32名、日本人12名(内学生7名)計44名の参加となりました。 実習やグループ・ディスカッションに備え、8グループ各5~6名に分け、教室内の席を固定しました。各グループに同じ国(日本人を除いて)の受講者が2人以上にならないように配慮しました。
<初日>
歓迎のあいさつの後に、 GPS/GNSSの測位原理をランチタイムを挟んで、初学者向けに講義しました。その後、参加者と講師陣等による自己紹介が行われ、引き続き歓迎パーティを開催し、参加者同士・講師陣と互いに親交を深め合いました。
<2日目>
GNSS受信機から得られる様々なデータを用いて、正確な測位結果を得る過程について詳しく解説され、測位プログラムの実習が行われました。
<3日目>
GNSS受信機の原理に関して詳しい講義が行われました。
<4日目>
午前は、使いやすく高性能と評判の高いRTKLIBの内容とアプリケーションプログラムの使用法について詳しい説明があり、各自のPCにダウンロードしてその性能を堪能しました。また、測位実習用として、参加者に最新の受信モジュールとアンテナが無償で提供されました。
昼食後は2グループに分かれて、交互に東京湾クルーズ船上での測位実習で、リアルタイム測位と最新の航海計器の性能を体感しました。一方のグループはキャンパス内の海事資料館を見学し、多くの展示品から航海術の歴史に接しました。
<5日目>
午前中は受信機を各自のパソコンで実現する実習が行われました。前日配布されたアンテナに加えて、フロントエンドも提供され、講師自身が開発したソフトウエアをダウンロードして、自身のPC上で、GNSS受信機の動作を体得しました。午後はシステム・デザインの講義とグループ・ディスカッションが行われました。 終了後はお別れパーティで、最終日を前にさらに親交を深め合いました。
<最終日>
午前は海外からの参加者8名により、自国および自身のGNSS応用事情・研究事情が報告されました。昼食後はGNSS信号の脆弱性と欺瞞対策について学び、受信位置がパリの凱旋門に飛んでしまうことを提供された自身の受信機で体感しました。その後、修了証の授与でスクールの幕を閉じました。
GNSS技術はわが国のみちびきシステムの展開と相俟って、必須のものとなりつつあり、今後さらに重要性が高まるものと思われます。受講生の満足度は非常に高く、国際技術貢献、国際交流の一助として、レベルアップを図りつつ継続的に進めて行きたいと思っています。