2017年度活動レポート(一般公募コース)第78号
台湾の大学生が、日本の土砂災害に関する最前線を学ぶ
奈良女子大学からの報告
平成29年7月24日から7月31日の日程で、台湾の東海大学、朝陽科技大学の学生10名、教員1名を招へいし、研修プログラムを実施しました。
<目的>
国際的に見て、日本と台湾は土砂災害の多い地域です。そこで本プログラムでは、台湾の学生が、土砂災害の発生メカニズム、危険区域等の設定方法、防災計画、避難計画、復興計画等について、日本の土砂災害に関する最新の内容を学べるようにしました。
それらを座学で学ぶと同時に、紀伊半島大水害の被災地・奈良県野迫川村、奈良県十津川村をフィールドとし、実際の復旧、復興に携わった行政職員、土木・建築技術者の講義なども取り入れました。さらに、被災集落の住民と交流し、災害発生時、避難生活、復興への意見などを伺い、奈良女子大学大学院で防災計画、山村計画を研究している大学院生との交流も行いました。
<プログラムの概要>
プログラム前半は奈良女子大学内で講義を行いました。講師は朝陽科技大学教員、奈良県庁職員、奈良女子大学教員。
主な内容は以下の5点です。
①土砂災害の全般的状況、深層崩壊のメカニズム、避難計画、防災計画、日本の主な土砂災害と復興計画など。
②日本の中山間地域の状況、地方創生と山村計画の内容、奈良女子大学の取り組みなど。
③紀伊半島大水害(2011年9月)の被害状況、被災地(奈良県野迫川村、十津川村)の復旧、復興状況など。
④フィールドとする野迫川村、十津川村の状況など。
⑤台湾での土砂災害の取り組み及び防災を念頭に置いたランドスケープの状況など。
プログラム中盤は紀伊半島大水害で被災した奈良県野迫川村、十津川村の被災現場を訪問し、地元行政職員、復旧に係わった建築・土木技術者、野迫川の被災者から講義を受け、現地を見ながら以下の5点を学びました。
①被害の状況、
②復旧の技術的内容、
③復興の全般的状況と復興公営住宅の内容、
④被災時及び避難生活の状況、
⑤復興に関する地元住民の希望。
プログラムの後半は奈良女子大学に戻り、総括的な討論を行いました。
<成果>
台湾の学生は個人負担無く、日本の土砂災害の最新内容が学べました。座学で全般的な内容を学ぶと同時に、紀伊半島大水害の被災地を訪問することで、実践的な内容を学び取ることができ、包括的に日本の土砂災害対策を把握できたと思われます。
このプログラムには奈良女子大学の学生も部分的に参加したため、学生の国際交流にもなり、双方の学生にとっていい刺激になったと判断できます。
紀伊半島大水害被災地を訪問し、地元行政職員の話を伺い、地元住民との係わりも設定しました。学生にとって実践的な学びの機会を保障していただきましたが、海外からの訪問者を迎え地元にとってもいい刺激になったと思われます。
お忙しい中、このプログラムにご協力いただいた方々に感謝申し上げると共に、このような機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」にお礼申し上げます。