2017年度活動レポート(一般公募コース)第45号
日・印トップレベル大学による最先端情報通信技術の研究交流
東京大学大学院情報理工学系研究科教授 須田礼仁さんからの報告
東京大学大学院情報理工学系研究科では、2017年6月25日から7月15日まで、インド工科大学ハイデラバード校、デリー校、マドラス校より合計10名の学生(大学院学生8名、学部学生2名)および引率の教授1名を招へいしました。
我が国の情報通信技術で世界をリードする東京大学情報理工学系研究科に、インドの最高学府 IIT でも最優秀のコンピュータ科学の学生を招へいして、世界最高レベルの共同研究を実施することが、今回の交流の目的です。
IIT ハイデラバード校、デリー校、マドラス校と本研究科とは、これまでも連携を進めてきましたが、これを基盤として、優秀な学生を厳選して受け入れ、本研究科が世界的に強みを持つスマートシティ、高性能計算、先端アルゴリズム等の研究室にて、世界水準の研究を体感してもらうとともに、我が国の情報通信関連の科学技術のすぐれた点を、総合的に理解することが可能になるような企画にしました。
プログラム期間中には、日本文化を体験してもらうため、本学の日本語教室の協力を得て、1日日本語教室、および茶道体験を開催しました。
また、埼玉伝統工芸会館、鉄道博物館への日帰りバス研修を企画し、和紙の紙漉き体験に参加して実際に和紙を作成したり、我が国最先端の鉄道技術に関する展示を見学したりして、学生たちは日本の文化・科学に関する知見を深くすることができたと思われます。
世界の先端をゆく本学の研究に触れることで研究への興味に目覚める学生も多く、本学に進学を希望する学生もでてきました。それに加えて、日本文化への理解、わが国の同年代の学生との交流事業を通して、日印を結ぶ人的ネットワークを醸成し、多くの優秀な人材の、日本への継続的な興味を喚起することができたと考えています。
引率教員には、分野の近い教員との懇談を行っていただいたのに加え、3回にわたり講義を行っていただくという形で、本研究科の単位付きの講義の一部を担っていただきました。これは日本の学生にとって、インドトップクラスの大学の教育・研究の高い水準を知るよい機会となったと思われます。今後も様々な機会を通じて、双方の強みを生かした教育の連携の形を探っていきたいと思います。
また、本研究科では11名の学生と3名の教員がインドを毎年訪問しており、今回招へいしたIIT 3校のうち、IIT ハイデラバード校、IIT デリー校には2017年9月に訪問する予定としております。これにより、さくらサイエンスプログラムで生まれた人的つながりを活用し、再確認および強化することができるものと期待されます。
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて本研究科でインド工科大学から学生を受入れるのは3回目になりますが、これまでの経験を蓄積して、短期間ながらも充実した研究環境を提供することを中心に、その他さまざまな日本の文化に触れられるような機会を充実させてきました。
今後とも、プログラムの一層の改善を図り、より多くの優秀なインド人学生に、日本のすばらしさと本研究科のすぐれた研究環境を体験してもらいたいと考えています。
同時に、インド人学生受け入れが本学の在学生にとって大きな刺激になることを実感しており、本学の教育の高度化にも貢献が期待できると確信しています。