2017年度活動レポート(一般公募コース)第41号 (Aコース)
基礎理学における人材育成ならびに学術交流基盤の構築
奈良女子大学理学部化学生命環境学科環境科学コース
高須夫悟さんからの報告
平成29年8月1日から同年8月10日にかけて、奈良女子大学の協定校であるバングラデシュ・チッタゴン大学から大学院生10名と教員1名を招へいし、さくらサイエンスプログラムによる交流を実施しました。
奈良女子大学側の受け入れ組織は、数理的手法や計算機を用いたシミュレーション解析を通じた環境科学全般に関する教育研究を行っている理学部・化学生命環境学科・環境科学コースです。
チッタゴン大学からの参加者は、チッタゴン大学理学部に所属する森林環境科学研究所にて学ぶ大学院生で、主に森林環境学に関する学際的な研究に取り組んでいます。
今回のさくらサイエンスプログラムでは、受け入れ組織の教員による、非線形力学系を用いた個体群動態の数理に関する講義と計算機実習、ならびに、惑星大気に関する講義、地球微生物学に関する講義を実施しました。
また最終日には、自ら選んだテーマに関する課題発表会を行い、今回のプログラムで学んだ知識・技術を今後の研究に活かす経験を積んでもらいました。チッタゴン大学森林環境科学研究所のカリキュラムとはひと味違う視点からの授業は、環境を科学する新しい視点を彼女たちに提供できたと思います。
今回大学院生に同行したチッタゴン大学理学部長とは、今後の学術交流に関する有意義な議論を行い、両大学の持続的な交流の基盤を築くことが出来ました。
初日と最終日を除く実質8日間のプログラムでは、受け入れ組織の教員による英語による講義・計算機実習、課題発表に加えて、奈良女子大学学生との交流を通じて日本をよく知ってもらう交流会を複数回企画実施しました。バングラデシュの学生は皆英語が堪能で、本学学生にとって英語で交流するとても刺激的な良い機会となりました。
奈良女子大学近辺には世界遺産の奈良公園など、文化的に価値がある文物が数多くあります。プログラム中には夏の奈良の有名行事となった、『なら燈花会2017』が奈良公園で開催されており、灯がともった数万本のろうそくが醸し出す幻想的な風景に、チッタゴン大学からの参加者は非常に感銘を受けていたようです。
10日間という短い期間でしたが、今回参加したチッタゴン大学大学院生のほとんどは、今回の来日がバングラデシュ国外に出る初めての海外旅行であり、奈良に到着した当初はいろいろ不安なことが多かったようです。
しかし、奈良女子大学の学生がボランティアとして彼女たちの奈良滞在(食事や買い物など)を支援してくれたおかげで、プログラム終了時にはすっかり打ち解けて、本プログラムならびに奈良滞在を十分有意義なものとして楽しむことが出来たと思います。
今回の参加者の中には研究者を目指す学生がおり、将来彼女たちが日本に戻ってきて、さらなる勉学・研究に励んでもらえることを願っています。
この場を借りて、プログラム支援をして頂いたさくらサイエンスプログラムに厚く御礼申し上げます。