2017年度活動レポート(一般公募コース)第35号
日本の先端的環境保全研究を学ぶ日中交流プログラム
帝京大学からの報告
「さくらサイエンスプログラムによる訪日で日本人のホスピタリティに触れ、中国でのメディア報道との違いに驚いた!」「帝京大学の大学院に進学したい!」と述べる参加者からのコメントは、さくらサイエンスプログラムを遂行した我々への最大の賛辞でした。みんな、本当にありがとう!
6月18日(日)夕方、無事成田に到着した青海大学の学生4名と引率教員1名および山東交通学院大学の学生2名は、大学スタッフの出迎えを受け、宇都宮行きのバスに乗車しました。初来日を実現した彼らが感じた日本は?旅装を解いた後の夕食の味は?そしてどんな夢を見たのでしょうか?!
6月19日(月)朝、大学スタッフから滞在期間中のガイダンスを受け、理工学部長に挨拶、施設見学の後に学食で昼食を取り、各研究室に向いました。バイオサイエンス学科の柳原研では、研究室の学生達を交え自己紹介。参加学生2人は長旅の疲れも見せず元気一杯でしたが、少し緊張しているようでした。
研究室と機器の説明の後、今回の研究体験目的の「超臨界メタノールを利用したプラスチックのケミカルリサイクル」につき、原理と実験方法および日程を説明しました。機械・精密システム工学科の森研では、インドネシアやメキシコの交換留学生達との挨拶の後、1週間の研究体験予定を確認しました。
その後柳原研の参加学生も加わり、実習工場とATC棟およびキャンパスの体育施設を見学、ジムも体感しました。森研のエンジン試験室で体感研究で用いる機器の見学と研究体験内容の打合せ後、キャンパス主催の歓迎会に臨みました。歓迎会にはキャンパス在籍中の海外留学生も多数参加し、国際交流が進みました。
6月20日(火)朝から研究体験がスタートです。柳原研の参加学生達は最初戸惑いつつも少しずつ慣れ、学生助手に質問しながら実験を進めました。身振り手振りを交えた会話の様子が印象的でした。森研の参加学生達も、初めて触れる機器を用いたディーゼルエンジンの試験に、4人全員が興味津々のようでした。装置作動や各コンポの脱着・組立て作業などを嬉々として熟し、全員が役割を分担し、計測データの読取りやデータの収集等で有意義な1日を過ごしました。
6月21日(水)の柳原研の実験目的は、生成物の精製と機器分析による生成物の推定です。森研では膨大な取得データの解析で、森研の学生・院生から教えて貰いながら楽しそうに解析作業に没頭して居ました。
森研の研究体験内容は「バイオ・ディーゼル燃料(BDF)を用いたディーゼルエンジンから排出されるナノ粒子の計測」で、中国の北京や上海などの大都市でPM2.5と称され、大気汚染や健康への影響原因でも有る微粒子を扱うテーマなので、とても興味深かったようです。
6月22日(木)は待望の企業訪問と世界遺産の日光参拝です。日本の開発技術と日本の文化・歴史を同時に体感する日で、全員が朝から高揚して居ました。柳原研の参加学生達は新栄工業(株)、森研の参加学生達は三菱ふそうトラック・バス(株)の喜連川研究所訪問です。
新栄工業(株)では、農業用機械に用いられるプラスチック製品の製造を行っています。工場長さんからの会社概要説明の後、色々な機械と連動している製造工程を見て回りました。オートメーション化された製造工程、製造ラインに割り振られている作業員の熟練技術の高さに、柳原研の見学者全員が驚き感嘆でした。
森研の参加学生達は、喜連川研究所での挨拶と自己紹介の後にビデオを鑑賞し、大型観光バスに試乗してテストコースの体験走行でした。高速周回路走行、雪や氷を模擬した圧接路でのABS制動、石畳の上の走行およびダートの走行など、普段体験出来無い走行体験が出来た彼らには感動ものでした。
更に東洋一の電波試験室や最新ディーゼルエンジン試験設備の見学後は、技術者とのQ&Aタイムで熱い討議が繰り広げられました。
そして東照宮の陽明門がリニューアルされた日光訪問!柳原研と森研の参加学生達は、大学スタッフが予約したレストランで合流。皆、興奮を隠せずワクワクしながら、まずは日光名物の湯葉を盛付けた定食に舌鼓を打ち、参道を歩き東照宮に参拝しました。平日にも拘らず沢山の観光客が訪れた喧噪な中での参拝でしたが、参加学生達は目一杯楽しんでいました。
「見猿、聞か猿、言わ猿」を説明し、作法に則ったお清め後に、美しく蘇った陽明門を潜りました。唐門を観て本殿に参拝、お墓に向かいました。左甚五郎作「眠り猫」を潜り、石造りの階段を登りお墓に詣でました。
家康没後400年後に訪れた参加学生達の印象は?屈託の無い笑顔でおみくじやお土産を購入する彼らが、日本の歴史や文化に想いを馳せてくれた事を祈りつつ、日光湯元の足湯に向かいました。最初は戸惑いつつも30分近く足湯に浸かった彼らは、日光参拝の疲れを癒せて満足気でした。宇都宮が日本一を誇る餃子で夕食を取り、中国とは異なる餃子に舌鼓を打ち、笑顔で感謝を伝えてくれました。
6月23日(金)、柳原研と森研の参加学生達は朝から実験結果を整理し、15:00からの成果報告会での発表用パワーポイントを作成、発表に備え何度も練習を熟し本番に臨みました。森研の参加学生4人に続き、柳原研の2人も英語で10分の発表と5分のQ&Aを熟しました。
発表は今回の訪日で体感した研究とアクティビティ全てへの喜びと感謝が籠ったプレゼンで、聴衆の胸を打ちました。理工学部長から修了証明書を渡した後の記念撮影時の彼らの最高の笑顔が、トップの写真です。
送別会には、関係した研究室の学生に加え、他の留学生や大学教員およびスタッフが参集、短かったが彼らとの出逢いと交流に感謝しつつ、別れを惜しみました。「ありがとう!また来たい!また逢いたい!」との感謝の言葉と彼らの素敵な笑顔で、関係者一同の労が報われました。
6月24日(土)は、朝の新幹線で上京しました。神田駅近くのホテルに荷物を預け、地下鉄に乗り北の丸公園の旧江戸城天守台に登った後、科学技術館を訪れて館内を自由見学。展示は膨大故、数時間での網羅は不可能ですが、各々が興味の有る展示を堪能しました。
その後に訪れた浅草は、大変な人出!グループに別れてショッピングや浅草寺へ参拝、各々が仲見世を満喫しお土産を物色・購入しました。そして秋葉原に向かい、アニメの世界と電気街を堪能して貰いました。「中華そばが良い!」との要望で、ラーメン屋さんで送別の宴を張りました。参加学生達の喜びと感動を感じました。
6月25日(日)の朝5:30にホテルロビーに集合。別れを惜しむかのように天から涙雨の贈り物が届く中、大学スタッフが水天宮迄地下鉄で送り、成田行きリムジンバスを見送りました。名残惜しくも彼らの無事を祈りつつ---「またいつか逢おうね!」