2016年度活動レポート(一般公募コース)第310号
先進フォトニックス・レーザー研究に関する学術研究交流
International Academic Exchange on Advanced Photonics and Laser Technology
電気通信大学国際教育センターからの報告
2017年1月15日~21日の7日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、ハルビン工程大学(HEU、中国)の理学院から「光とオプトエレクトロニクス」研究分野の優秀な学生8名と教員3名を招へいし、本学の「レーザー新世代研究センター」と「フォトニックイノベーション研究センター」と共にジョイント研究会を開催しました。
初日は、開会の挨拶とオリエンテーションの後、HEU理学院の副院長(引率教員)に、HEU理学院の概要と研究活動を紹介していただきました。
午後は、本学のUECコミュニケーションミュージアムを訪問し、20世紀初頭の電信・無線通信機、日本最初の核磁気共鳴装置(NMR)から電波時計に至るまで、世界でここにしか現存してない貴重な情報通信に関する歴史的機器を見学して通信技術についての理解を深めました。
2日目は、「フォトニックイノベーション研究センター」を訪問し、当センターのミッションと最近の研究成果の説明を白田耕藏センター長から受けた後、「ナノ光ファイバーによる量子フォトニクス情報通信技術の開発」に関するレクチャーを受けました。
午後には、センターの教員と研究員の指導の下にフォトニックイノベーション研究の先端研究に関する実験を体験することができ、充実した一日となりました。夕方からは、日本の文化体験として、大学周辺にある深大寺を拝観・散策し、名物の深大寺そばを堪能しました。
3日目は、学外研修として、日本科学未来館と高度技術社会推進協会(TEPIA)を訪問しました。参加学生は、午前に日本科学未来館を訪れ、科学展示、及び実物のロボット「ASIMO」を目の前にして興奮を隠せない様子でした。
午後は、TEPIAへ移動し、社会や経済を支える先端技術(体験型展示)とワークショップを体験しました。参加学生は、ワークショップ「自分のDNA抽出」に興味津々で挑戦し、楽しみました。
本日の研修を通じて、科学を体験学習すると同時に、科学館での秀逸な展示手法も学ぶことができました。
TEPIAへの移動途中、お台場のランドマークにもなっている等身大の「機動戦士ガンダム」のところに立ち寄り、もう一つの日本の「科学技術(?)」を体験する機会も持ちました。
4日目は、日本唯一のレーザーや原子光学の研究施設である「レーザー新世代研究センター」を訪れ、最先端レーザー技術と原子分子物理学について学びました。
米田仁紀センター長による当センターの概要と研究の説明に続き、午後は、レーザー新世代研究センターの関連研究室の米田研究室、白川研究室、武者研究室、戸倉川研究室、桂川研究室、美濃島研究室へ移動し、研究室を中心に教員や学生と交流しながら、日本や世界の代表的な最先端レーザー研究の超短パルスレーザー、単一周波数レーザー光源の変調、光コム(光周波数櫛)などに触れました。
その日の研修終了時間は午後6時を過ぎていたにもかかわらず、参加者は皆興味が尽き内様子で目を輝かせ熱心に見学していました。
最終日は、「ハルビン工程大・学理学院」、「フォトニックイノベーション研究センター」と「先進フォトニックス・レーザー」によるジョイントシンポジウムを開催しました。
両校の学生と若手研究者がレーザセンシング、ファイバーレーザー、マイクロ光ピンセット、ナノファイバーによる量子共振器(QED)、超短パルスレーザー、超高速アト秒パルス列や光コムの先端的レーザー技術とフォトニクス研究の現在と将来について、活発に議論しました。
シンポジウムの発表タイトルは以下の通りです。
<午前の部> ハルビン工程大学による発表
1. Yushi Chu, “Bismuthate related Active Medium”
2. Zhangjun Yu, “Distributed Birefringence Dispersion Measurement for Polarization Maintaining Fibers”
3. Min Zhang, “Single Fiber Optical Tweezers”
<午後の部> フォトニックイノベーション研究センターとレーザー新世代研究センター(白田研、白川研、桂川研、美濃島研)による発表
1. Jameesh Keloth, “Fabrication of Photonic Crystal Nanofiber Cavities for Cavity QED”
2. Shotaro Kitajima, “Ultrashort Pulse Laser based on New Ceramic Materials”
3. Chuan Zhang, “Arbitrary Manipulation of Optical Amplitude and Phase and its Application to Generation of Ultrafast Atto Pulse Train”
4. Akifumi Asahara, “Ultrafast Spectroscopy using Dual Optical Frequency Combs”
シンポジウム後の修了式では、白田耕藏フォトニックイノベーション研究センター長から、参加者一人ひとりにさくらサイエンス修了証書が授与されました。
今回のプログラムにより、フォトニクスやレーザー技術をはじめとする先端科学技術を相互学習し、情報交換を行うことができました。これを機にさらになる両校の相互の連携を図りつつ、学術研究交流も一層活発に展開していくことが期待されます。
英語版(UEC e-Bulletin)
http://www.ru.uec.ac.jp/e-bulletin/news/2017/sakura-science-2017.html
http://www.ru.uec.ac.jp/e-bulletin/pdf-issues/2017/vol13.pdf