2016年度活動レポート(一般公募コース)第288号
水処理技術での微生物燃料電池開発に関する共同研究
山口大学大学院創成科学研究科准教授 通阪栄一さんからの報告
山口大学大学院創成科学研究科環境化学・生化学プロセス工学研究室では、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、マレーシア・プルリス大学からの修士課程、および博士課程の学生8名と教員1名、計9名を招へいし、「水処理技術での微生物燃料電池開発に関する共同研究」をテーマとし、平成28年12月5日から12月14日の日程で,学術・文化交流を行いました
プログラムの初日は、オリエンテーションとして、滞在期間に実施する研究プログラムの説明、および受入研究室の機器の紹介、そしてキャンパス内を案内し、山口大学について説明しました。
2日目からは、排水の高効率処理のための微生物固定化技術、微生物培養技術、バイオリアクターの設計および評価法について実習を行いました。この中で、微生物固定化に利用するゲル粒子やマイクロカプセルの作製を、体験してもらいました。
その後,微生物培養,微生物培養後の生成物の分離・回収方法、そして定量分析について学んでもらいました。
招へい者らは普段の研究においては依頼分析が多く、自ら分析機器に触れることが少ないことを聞いていたため、本学産学公連携センター機器分析支援員の協力のもと、分析機器を用いた評価の実習に力を入れ、電子顕微鏡の試料作製、観察を行い、またHPLC, GC-MSなどの操作も体験してもらいました。
また、同キャンパスで水処理関連の研究を行っている複数の研究室の見学も行い、有機排水処理のためのメンブレンリアクター開発や、バイオマスからのバイオガス生産など、様々な研究を知ってもらう機会を設けました。
この他、学生同士の研究発表会も実施し、日本の学生にとっても大変良い経験となりました。また、微生物燃料電池の開発にむけて、お互いの分野からの意見交換を行い、今後の共同研究に向けてのプランが定まり、大変有意義な時間となりました。
山口大学での実習最終日には日本食を囲んでの懇親会を行いましたが、この頃になると、学生間の交流も活発に行われ、研究面だけでなく文化交流としてもお互いに良い刺激を受けたようです。
最終日には福岡市に移動し、海水淡水化施設の見学を行いました。日本の先端水処理施設の見学ということで、非常に興味を持ち熱心に説明を聞いていたのが印象的でした。
本交流プログラムは、招へいしたマレーシアの学生と日本の学生の双方にとって、大変貴重な経験となったことと思います。また、今後の研究交流のきっかけとしても大変有意義なものになり、共同研究が大きく展開することを楽しみにしています。
最後になりますが、本プログラムを遂行するにあたり、多大なるご支援を賜りましたさくらサイエンスプログラム、およびご協力いただいた関係者の方々に心より感謝申し上げます。