2016年度活動レポート(一般公募コース)第73号
ミャンマー産天然資源からの創薬シード探索を向上させる研究交流
富山大学和漢医薬学総合研究所からの報告
平成28年10月31日から11月8日まで、さくらサイエンスプログラムにより、ミャンマー・ヤンゴン大学化学部から3名の大学院生と、引率の教員として同大学薬学部長を招へいしました。
本プログラムは、ミャンマーの天然薬物研究を担う大学院生が、我が国の天然物化学研究を体験することにより、ミャンマーの天然物化学に関する研究水準を向上し、ミャンマー国内における創薬研究を発展させることを目的としています。
初日は本事業での実験の打ち合わせを行った後、ミャンマー産薬用植物抽出エキスの、ヒトがん細胞に対する細胞毒性を調べるための準備を行いました。本学研究員より、ヒトがん細胞を準備するところから実演がなされ、その後、招へい者らが実際にその操作を行いました。
本学研究員による実演中は、招へい者は真剣な表情で一連の操作の習得に努め、積極的に質問をしていました。しかし、実際に本人が行ってみると思うように操作できないところもあり、操作一つをとっても経験が必要であることを強く実感しているようでした。
2日目は、前日に準備したがん細胞にミャンマー産薬用植物の抽出エキスを加え、細胞毒性試験を行いました。細胞毒性試験は前日の準備で操作慣れしていたため、比較的時間がかからずに行うことができました。また、それらの抽出エキスからの化合物の粗精製を始め、最終日前日の8日目までこの操作を続けました。
この際には、化合物を粗精製するための機器を用いましたが、機器の扱い方を習得するのに時間がかかりました。本事業の間、招へい者らはこの機器を頻繁に使いましたが、機器の扱いは苦手なようでした。招へい者らにとって、機器の扱いに精通し、効率良く実験を進めていくことが今後の課題として残されました。
3日目には、実験の待ち時間に、本学の民族薬物資料館を見学し、薬都富山の歴史と伝統、和漢薬を初めとする世界の伝統薬物や漢方薬について学びました。伝統薬物に対する概念について、自国との相違点や類似点など、展示資料を通して学ぶことができた1日となりました。
7日目には、白川郷を見学しました。招へい者らは雪国北陸の知恵と工夫を目の当たりにし、とても感激していました。
最終日は、来年の本事業の打ち合わせを行いました。その後、修了式で森田教授から1人ひとりに修了証が授与されました。また、アンケートでは全員が今回の訪日に対して「非常に満足」と答えていました。さくらサイエンスプログラムにより、とても有意義な国際交流の機会をいただいたことに、心より感謝申し上げます。