2016年度活動レポート(一般公募コース)第72号
情報セキュリティ分野における擬似乱数の生成法に関する共同研究
岡山大学大学院自然科学研究科准教授 野上 保之さんからの報告
JSTさくらサイエンスプログラムの支援を受け、10月1日から10月10日までの10日間に渡って、ジャティヤカビカジノズルルイスラム大学(バングラデシュ)学生のFatema Akhterさん(以下、Fatemaさん)が岡山大学大学院自然科学研究科の私の研究室(セキュア無線方式学研究室)を訪れました。
Fatemaさんは、約2年前に私にコンタクトをとり、私の研究分野(情報セキュリティ)に興味をもち、将来的には私の研究室に留学をして研究をしたいという希望をもっていました。
これまでも日頃から、インターネットでのメールやSkypeなどを通じて議論を深め、つい最近では国際会議にFatemaさんを第一著者にして、連名での論文投稿なども行ってきました。そのような中での今回の訪問でしたので、ある意味では、今回の滞在期間中の研究活動については、その下準備は十分に整っていました。
今回のFatemaさんの訪問については、幾らかの目標・目的を設定していました。まず研究面においては情報セキュリティ分野において活用される擬似乱数の生成法に関する研究を深めること、また文化面においては岡山の文化に触れてもらい、日本の大学、研究機関に留学するというイメージを一層ふくらませてもらうことでした。
前者については、今後の国際会議への連名投稿ということもイメージしながら、これまでSkypeミーティングで研究を進めてきた擬似乱数系列の生成法についてミーティングを行いました。
滞在期間の前半では、Fatemaさん自身の理論的にまだ深く理解できていない辺りを講義し、その理解を深めてもらいました。とくに、情報セキュリティ応用のための乱数ということで、その線形複雑度(次のビットの予測困難性)という着眼点での考察を深めてもらいました。
滞在期間の終盤では、それをより深く習得してもらうため、Fatemaさん専用として滞在期間中に貸し出しているPCを使って、C言語によるプログラミングを行ってもらいました。日頃からプログラムに慣れ親しんでいるとのことで、テキパキと実装を終え、実験データを取るなどして考察を進めてもらいました。
最終日には、その成果報告を15分程度でPowerPointを使って発表してもらいました。
滞在期間中は、私の研究室に所属する留学生、とくに同じくバングラデシュから留学している修士学生、博士学生(とその奥様)に研究のみならず生活面でもサポートしてもらい、Fatemaさん自身も安心して、岡山での生活を送れたと感じています。
その上で、もう一つの目標である「日本の文化に触れてもらう」という点については、研究室に所属する中国からの留学生に、岡山が誇る日本庭園「後楽園」見学に連れて行ってもらい、岡山城も含め、日本文化を実感してもらいました。。うどんなど、日本の食についても堪能してもらえたように思います。
以上、さくらサイエンスプログラム支援によるFatemaさんの訪問を、無事終えることができました。Fatemaさんにとってとても良い経験となり、より一層、岡山大学をはじめ、日本の大学へ留学するモチベーションになったと考えています。このような活動を通じ、日本の教育現場から世界的な貢献ができればと期待しています。