2016年度活動レポート(一般公募コース)第12号
ベトナムの理科教員養成のための探究型教育研修プログラム その2
三重大学教育学部からの報告
ホーチミン師範大学からの参加者たちに対して、まず、日本の教育カリキュラムと教育改革の歴史、高校理科カリキュラム、高校理科教員の養成、および高校理科教育の現状と課題について講義をしました。また、物理、生物、化学、地学の授業に参加しました。物理では、小学校の「電気の利用」の分野で扱う実験キットを用いて、電気の仕組みをいかに楽しくわかりやすく学ぶかについて実習を行いました。コンパクトで安価で優れた教材であることに驚き、ベトナムの子どもたちにも理科の楽しさ伝えられることを学んでいました。生物では、大学構内の植物の種子探しを行う実習、地学では「手作り望遠鏡」の作成を行いました。いずれも昨年度好評であったもので、身近な自然を活用した授業や望遠鏡の仕組みから学んで実際に観察することにとても興味をもっていました。
そして、三重大学の工学研究科で先端的研究を行っている2つの研究室を訪問しました。1つは紫外線LEDの研究開発を進めている三宅秀人先生にお願いしました。導入部分で光について興味を持たせるために、回折格子を利用した簡易分光器の作成が行われました。これには自作の「ホーチミン市師範大学のロゴ入ラベル」まで準備してくださいました。参加者は作成しながら、「Sakura Club」での活用を話し合っていました。三宅先生は、交友のあるノーベル賞を受賞した先生方とのエピソードを交えながら、光について話してくださいました。
続いて、工学研究科の勝又英之先生による水質浄化や水素製造法に関する研究では、勝又先生による全体説明に続いて、4名の大学院生が研究紹介してくだいました。英語による発表は大学院生のトレーニングになるということで計画してくださり、研究室案内に引き続いて大学食堂での昼食まで付き合ってくれるなど、学生交流が広がる機会となりました。7日目には地域イノベーション学研究科の三島隆先生による食品化学に関する研究紹介と研究室案内が行なわれました。三重大学の優れた研究内容や研究室の設備にとても関心をもち、将来は三重大学の博士課程に来たいという声が上がっていました。
7日目と8日目には、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている四日市高等学校、およびSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている津高等学校を訪問し、物理、化学、生物の授業参加とともに、各校で計画されているベトナムやマレーシアへの海外研修に参加する生徒との交流会が開催されました。語学練習を兼ねた異文化交流となり、その様子は地元の新聞にも掲載されました。(その3につづく)