2015年度活動レポート(一般公募コース)第235号 (Cコース)
インドネシアの若者がジェロンテクノロジー(介護を支援するテクノロジー)について日本で学ぶ
公益財団法人福岡アジア都市研究所
当研究所は、都市関連分野の研究を行うとともに、アジアとの交流ネットワーク事業を推進しています。このたび、科学技術振興機構の「さくらサイエンスプログラム」により、インドネシアから、インドネシア大学、レスパティ・インドネシア大学、レスパティ・ジョグジャカルタ大学及びジョグジャカルタ州立第5高校から大学院生、学部学生、そして高校生計14名を2015年8月19日~8月28日の日程で福岡市に招へいし、大学や福祉施設などを訪問し、座学と訪問などを通じて日本の最先端の高齢者対応システム・技術(社会システム、ICT利活用、ロボット技術など)に関するスタディツアーを実施しました。
その目的は、インドネシアの優秀な若者に、「さくらサイエンスプログラム」事業の目指す「アジアの青少年の日本の最先端の科学技術への関心を高め、もって日本の大学・研究機関や企業が必要とする海外からの優秀な人材の育成に貢献する」とともに、福岡における介護人材等の国際的教育拠点づくりに寄与することを目指しております。
座学に関しては、主として当研究所の研究員が「世界と日本とインドネシアの人口高齢化」をテーマに、インドネシア側の問題関心に沿って高齢者問題について講義を行いました(20日午後、25日午前)。また、大学や各施設を訪問する際もなるべく全体状況を把握できるようにレクチャをしました。
大学訪問については、中村学園大学(21日午後)では、日本の食育の取り組みについて紹介を受けてから、栄養学研究科の学生たちとともに「一汁三菜」を試食し、最先端の栄養調理学実習室を見学しました。九州大学では、芸術工学研究院を訪問し(24日午後)、インクルーシブデザインを学ぶワークショップに参加しました。また、工学研究院機械工学部門を訪問し(26日午前、27日午前)、システム工学と制御工学の分野で介護用ロボットの研究開発について講義を受け、研究室を見学しました。その関連で、株式会社住友理工の開発研究室も見学し、介護用ロボットスーツを実際に装着して体験学習しました。
施設訪問については、福岡市健康づくりサポートセンター(21日午前)、福岡市民福祉プラザ及び介護実習普及センター(22日午前)、照葉特別養護老人ホーム(24日午前)、福岡山王病院(25日午後)、グループホームなごみ・多機能ケアいずみ(26日午後)を訪問し、各施設の責任者による紹介を受けながら、多方面にわたって日本での高齢者の健康維持と介護現状について見学しました。
休日を利用して、ユニバザールデザインの工夫が随所に見られる市営地下鉄を試乗したり、大宰府天満宮と九州博物館を見学したりして、日本の優れた文化に触れることもできました。
また、参加者ご一行が福岡市到着の翌日に福岡副市長を表敬訪問し、地元テレビのニュース報道などによって、今回のスタディツアーが地域でも注目されていました。
27日夕方に修了式が行われ、当研究所の代表が参加学生一人ひとりに修了書を授与し、学生たちから感謝の似顔絵が当研究所のスタッフに贈られました。
本プログラムがきっかけとなって、今回参加したインドネシアの3つの大学と当研究所及び地元中村学園大学との間に交流協定が締結され、インドネシアの大学関係者と日本福岡のさらなる交流促進が期待されます。
最後になりますが、このような機会を与えていただいた科学技術振興機構、丁寧なサポートをしていただいた担当スタッフの皆様、そしてご協力くださった関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。