2015年度活動レポート(一般公募コース)第219号
「科学技術をいかにグローバル課題の解決とウェルビーイングの実現に役立てるか」
早稲田大学人間科学学術院からの報告
早稲田大学人間科学学術院
科学技術振興機構によるさくらサイエンスプログラムで中国計量学院(2016年3月より中国計量大学に名称変更)の学生ら一行11名(うち学部生6名、大学院生4名、引率職員1名)が2016年2月21日から1週間にわたって日本を訪問しました。
今回の交流プログラムは、中国の優秀な若者に日本の最先端の科学技術を紹介し、科学技術をいかにグローバル課題の解決と人類共通のウェルビーイングの実現に役立てるかを一緒に考え、関心を高め、理解を深めることを目的としました。
まず、22日に日本科学未来館、23日には科学技術館をそれぞれ半日かけて見学しました。日本科学未来館では、先端科学技術を宇宙、人間、モノづくり、情報社会といった視点で体験し、科学技術の社会に対する役割と未来の可能性についてあらためて認識していただきました。
科学技術館では、科学を利用して技術を発展させてきた営みや、地球環境、バイオ、産業を支える技術や新エネルギーといった日本の最新の取り組みと成果を見て触れて、科学技術に対する興味と関心を深めることができました。
24日午前は東京都国分寺にある日立中央研究所を訪れました。日本を代表するグローバル企業の研究開発および最先端研究の取り組みについて紹介していただき、”Business Microscope”と題する特別講演を聴講しました。
ハピネスを測定するための人工知能技術を利用したヒューマンビッグデータ解析と適用事例についての話は学生に大きな興味をかき立て、一人ひとりが質問をし、真剣に考えていることがうかがえました。その後の展示室見学の際も関心の高さを反映して質問が続出し、全体の訪問は予定時間を30分ほど越えました。午後は本学所沢キャンパスの関連研究施設と研究室を見学しました。
25日午前は本学所沢キャンパスにて、環境、健康、福祉、情報に関わる21世紀の重要課題に対する日本の取り組みや科学技術を活用したグローバル課題の解決とウェルビーイングの実現に関する特別講義を受け、午後は本学術院大学院生による研究紹介および来訪学生との交流討論会が開催され、活発な意見交換と議論が交わされました。
さらに、26日午前は本学術院助教が”Disruptive Technologies: Inventions Beyond Imagination ― PossesedHand and UnlimitedHand”と題する特別講義をし、UnlimitedHandを利用したデモを行いました。ここでも学生全員が活発的に質問やコメントをし、デモにも積極的に参加し、旺盛な好奇心と意気込みが示されました。これらの特別講義や質問応答を通じて、科学技術を如何にグローバル課題の解決とウェルビーイングの実現に役立てるかについて来訪学生の問題意識と関心を高めることができました。
それ以外に、22日午前は本学早稲田キャンパスを見学し、開催中の「宮崎滔天と早稲田に学んだ中国留学生展」を参観しました。早稲田大学(当時東京専門学校)は1905年に「清国留学生部」を設立しましたが、中国人留学生の第1期生は1899年にさかのぼり、展覧会には当時の留学生たちの生活ぶりをうかがうことができる貴重な資料が多数展示されています。
23日午後は皇居、浅草、明治神宮などを訪れたり、25日早朝には中国人留学生が特別企画した小学生集団登校を見学したりして、日本の優れた文化に触れる機会もありました。
26日午後は修了式が行われ、実施責任者である谷川章雄学術院長から学生一人ひとりに修了証とバッジが授与されました。
本プログラムを通じて、今後、より多くの中国人学生が日本の大学院に進学したり、日本の企業に就職したりすることを考えるきっかけとなり、日中両国共同でグローバル課題に取り組む力となって貢献することを期待しています。
最後に、このような機会を与えていただいた科学技術振興機構、プログラム採録から終了まで一貫して細かなアドバイスと丁寧なサポートをしていただいたさくらサイエンスプログラム担当スタッフの皆様ならびに協力をいただいた関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。