2015年度活動レポート(一般公募コース)第10号
ベトナムにおける高校理科教員養成のための科学教育支援 その2
三重大学教育学部
三重大学における先端研究室の訪問
ホーチミン市師範大学との交流プログラム4日目には、工学研究科で先端的研究を行っている2つの研究室を訪問しました。
1つは紫外線LEDの研究開発を進めている三宅秀人先生にお願いしました。交友のあるノーベル賞を受賞した先生方とのエピソードを交えながら、光について話してくださり、ノーベル平和賞受賞のマララさんの「education first」という言葉でお話を締めくくられていました。
また、工学研究科の勝又英之先生による水質浄化、地域イノベーション学研究科の三島隆先生による食品化学に関する研究紹介など、三重大学の優れた研究内容や研究室の設備に触れ、ベトナムの学生たちはとても関心をもっていました。
高校の授業見学
3日目には、SSH校(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている県立津高等学校を訪問し、化学と物理の授業参観の他、SSC(スーパーサイエンスクラブ)の活動を参観し、天文(太陽の黒点観察)、生物(マグロのDNA鑑定など)、化学(電池等)、物理(摩擦係数の測定等)のプレゼンに参加しました。高校に設置されている天体観測用ドームなど、理科教育設備や実験器具の豊富さに皆、驚いていました(http://www.mie-c.ed.jp/htu/)。
また、8日目には、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている県立四日市高等学校を訪問し、物理と化学の授業参観の他、科学部による実験紹介を参観しました。第4回科学の甲子園全国大会」で行った化学実験について演示し、生徒らの自主的な化学実験の取組みについて皆、感心していました。
科学館等の見学
6日目には、大阪市立自然史博物館と大阪市立科学館、7日目には名古屋市立科学館を見学しました。大阪市立自然史博物館では学芸員の石田惣博士より、博物館の概要や教育用の貸出標本の説明を受けました。
物理や化学を専門とする学生ですが、生物学に対してもとても興味をもって熱心に質問をしていました。名古屋市科学館では学芸員の尾坂知江子博士による概要説明の後、放電ラボにおける放電ショーの見学をはじめ、館内での様々な展示や体験を楽しんでいました。
また、名古屋の東急ハンズの科学関係の売り場に寄り、科学に関心をもっている市民が様々な科学関係の商品や材料を購入できることを見てもらいました。実験室にしかないようなものが身近に購入できることに驚いていました。
成果報告会とお別れ会
9日目には、このプログラムで学んだことを一人ひとりがまとめ、パワーポイントを使って報告しました。10日間の楽しい経験は今後のキャリアに重要であり、三重大学での授業、高校の参観、科学館での体験などは、これから理科教育を進める上で、多くのアイデアを提供してくれたこと、将来、教員として教えるためのモチベーションとインスピレーションを与えてくれたことを熱く語っていました。
引率者の1人であるNguyen Dong Hai博士は、理科教育者として、科学が子どもや生徒、市民に何をもたらすかを考えているが、今回のプログラムで、単純で楽しい方法で科学を教えるための多くのアイデアをもらったと述べていました。
その後、修了式を行い、さくらサイエンスプログラムの修了証とともに、このプログラムの期間中、NHKの取材がありテレビ放映されましたが、そのDVDを贈呈しました。参加者全員がJSTに感謝し、このプログラムの継続を望んでいました。
その後、教育学部理科教育の学生らと書道を通じた交流会とお別れ会を行いました。お互いが幸福を祈る言葉を筆で書き、記念品としました。10日間、かなりハードなスケジュールであったために参加者も疲れたようですが、充実した期間を過ごした喜びに満ちて帰国しました。