さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第9号
先端技術研究に触れ、感激した東大見学
独立行政法人科学技術振興機構(JST)
「さくらサイエンス・ハイスクールプログラム」第1陣の最終日となった7月25日の午前中、生徒たちは2つのグループに分かれ、東大本郷キャンパスと東大生産技術研究所を見学しました。
本郷キャンパスは、東大本部とも言うべき場所で、広大な敷地に多くの研究棟が建ち並んでいます。一行が到着したのは、理学部第1号館でした。赤レンガ模様の近代的なビルです。
工学部と理学部の全体説明は、ビデオやパワーポイントを使いながら英語と中国語で行われました。東大の研究内容が世界の大学の中でもトップレベルとして評価されている点を、国際機関の発表内容をもとに紹介。また、大学・大学院の専門分野や留学生のサポート体制についても具体的な説明がありました。
東大は日本を代表する最高の学府だけに、組織をはじめ研究テーマや実績、そして国際的な評価など、いずれも魅力的な内容で、生徒たちは身を乗り出し真剣に聞いていました。 また留学生受け入れ制度からポスドクやキャリアパスへのサポート体制までの詳しい説明もあり、生徒たちも良く理解したようでした。
続いて理学部と工学部の研究室を訪問しました。工学部ではゼオライト材料研究の脇原徹准教授が模型をもとに説明。たいへん分かりやすい解説に、生徒たちは興味深く聞いていました。自動車の排気ガスをきれいにするゼオライトの研究開発には、皆、関心を示し、活発に質問をしていました。
また、スーパークリーンルームの見学では、中国から来ている研究者が中国語で説明。微細構造解析や加工など、ナノテク研究の拠点のひとつになっている研究現場を見て全員びっくりした様子でした。半導体回路の微細設計といった研究内容も紹介され、生徒たちは盛んに質問をしていました。
東大生産研でも先端研究を見学
一方、もう一つの高校生グループは、東大の駒場リサーチキャンパスにある生産技術研究所を訪問しました。
国際交流チームの稲垣 チームリーダーが中国語で挨拶し、和やかな雰囲気の中で生産技術研究所の紹介DVDが放映されました。その後、40人の高校生は4班に分かれ、4つの研究室を見学。研究室では、それぞれの研究者自らが研究内容を説明してくれました。
なかでも高校生たちは、伊藤正彦准教授らが説明してくれた「大規模時系列ネットワークデータに対する3次元情報可視化と探索技術の研究」に強い関心を示していました。
参加した中国の高校生たちは、生産技術研究所は堅苦しい場所なのでは、というイメージを持っていたようでしたが、実際に見て「自分のやりたい分野が研究できる楽しい場所」というイメージに変わったようです。また、「色々な技術を知ることができ、進みたい道が広がった」との感想もありました。
生産技術研究所の見学を通して、生徒たちは日本のトップレベルの研究に触れることができ、科学に対してさらに興味を深めたことがよく分かりました。
彼らの多くは日本の研究技術の素晴らしさ、そして研究に没頭する日本の研究者の姿に感動していました。その感動はやがて、日本への留学として実を結ぶような気がしました。